見てるぞ01 ページ34
倒壊したビル。瓦礫の山。テレビに映されたその光景は、悲惨としか言い様がなかった。そんな突如として訪れた惨劇の中、リポーターが声を張り上げている。
『現在ヒーローたちが交戦・避難誘導中！ しかしいち早く応戦したエンデヴァー氏は──────────……』
そこでリポーターの言葉は一度途切れた。その沈黙こそが、否が応でも現場の絶望感を伝えてしまう。
『…この光景…嫌でも思い出される、3ヶ月前の悪夢───────…』
──────────ダァンっ！！
「エンデヴァーさんっ…！」
エンデヴァーは目を覚ますなり、炎をジェットのように吹き出して身体を跳ね起こした。その勢いままに、拳を振り上げ、脳無に踊りかかる。
が、
「！！」
その動きにすら反応し、脳無は伸縮自在の腕デエンデヴァーを捉えた。そしてそのまま筋肉を鞭のようにしならせ、再び彼を瓦礫へと叩きつける。
「っ……」
(パワーも、スピードも、エンデヴァーさんより上…！)
思わず目を覆ってしまいたくなるような映像だった。勝ちの目は、見えない。
けれど。
それでも。
瓦礫をかき分け、ごぽりと血反吐を吐きながら、それでも、エンデヴァーは脳無を睨みつける。戦意は失われていない。まだ、戦おうと藻掻く。足掻く。
普通なら、退いて増援を待つべき場面なのかもしれない。プロとして第一線にたち続けてきたエンデヴァー本人が一番わかっているだろう。
それでも彼が、立ち続けるのは。
(まだ、諦めてないんだ…！)
その目には、はっきりとした戦う意志。
諦めの悪い──────────不屈の精神。
けれどその意志は、決意は、結果を出さねば伝わらないのも事実だった。
『いやぁあああ！！』『どけって！』『押すなよ！』『おかあさぁぁん！！』
悲鳴、怒号、泣き声。
混乱に突き落とされた人々の阿鼻叫喚が街を覆い尽くしていく。
そしてテレビから、リポーターの呆然とした声が。
『象徴の、不在…』
「…！」
『これが、象徴の不在…！！』
(なんて事を…！)
これが、現実だと。
現No.1の限界だと。
そう言いたいのか。
「！ 焦凍…！」
繋いだ手の力が強まったのがわかった。
「ふざけんな…」
「…！」
呻くようなつぶやきだった。
こんな所で倒れるのかと。
こんな中途半端に終わるのかと。
そんなことは、許さないと。
だって、何もかも、これからなのだ。
これからの、はずなのに──────────
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SangriA(プロフ) - 轟沙季さん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです(>ω<)更新がんばりますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年3月25日 23時) (
レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
轟沙季 - この作品は素晴らしいです！続きも読みたいです！図々しいですが更新よろしくお願いします！ (2019年3月25日 13時) (レス) id: 558a8f9c64 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - アトさん» コメありがとうございます！いつの間にかこんなに長く…でも楽しみにしてもらえてるのすごく嬉しいです。これからもがんばります！ (2019年2月25日 21時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - りんさん» コメありがとうございます！いつも読んでもらえて嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2019年2月25日 21時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
アト(プロフ) - こんなに続いてる神作初めて見ました…！！フェアリーテール楽しみにしてます！！！！ (2019年2月24日 23時) (レス) id: 405929ea37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SangriA | 作成日時：2019年1月26日 20時
