青天の霹靂03 ページ33
『ああ今！！ 見えますでしょうか！？ エンデヴァーが！！ この距離でも眩しいほどに！！ 激しく発火しております！！』
テレビの中のリポーターの叫び声。響く悲鳴。大混乱の中、逃げ惑う人々。
そしてその元凶と戦っているのは、紛れもなく。
(エンデヴァーさん…)
轟轟と燃える炎をまとうエンデヴァーは、次で決めるつもりなのだろう。Aは無意識に拳を握りしめた。鼓動が速い。息がしにくい。
(エンデヴァーさん…！)
その場にいない自分は、ただ祈ることしかできない。
(勝ってください…！)
焦凍への仕打ちを恨んだ、その気持ちが消えたわけじゃない。けれどエンデヴァーは、過去を捨て去るのではなく、過去と向き合うことを決めたのだ。焦凍が胸を張れるような父にと、不器用ながらも前に進もうとしているのだ。
その彼が、こんなところで負けていいはずがない。
(勝って…！)
━━━━━━━━━━━━━━━カッ！
テレビの向こう。眩い熱線が目にも止まらぬ速さで、真っ直ぐに脳無を捉えた。それは一瞬にしてその黒い体を包み、消し炭すら残さず蒸発させる━━━━！
「やっ…！」
た、と。
Aだけではない。誰もが、そう思った。
エンデヴァーの勝ちを……一瞬、確信した。
その、直後だった。
━━━━━━━━━━━━ビュるッ
「…………え？」
黒い、影が伸びた。
(再生、した？)
遠目でよくは見えないが、しかし確かに、あれは脳無だ。
いや、一番の、驚愕は。
絶望は。
「うそ」
呆然と零れた、言葉。
その、視線の先。
顔面を穿たれ…落下していく、エンデヴァーの姿があった。
「…！」
血の気が引いた。
「焦凍…！」
「っ……」
焦凍は、何も言わなかった。言えなかったのかもしれない。一瞬呆然とした顔をして、そして、ぎり、と歯を食いしばる。エンデヴァーが落下し、顔中を血まみれに、地面に叩きつけられる姿を、確かに見ていた。
「焦凍！！」
「！」
焦凍の手を握る。それで我に返ったように、焦凍はAを見た。
(だめ。動揺したら…！)
悪い夢でも見ているようだった。ともすれば取り乱しそうだった。けれど、パニックになってはいけない。信じなくては。エンデヴァーを、信じなくては。
だって。
「エンデヴァーさん、言ってた…！」
「A、何を…」
「『俺を見ていてくれ』って！！」
「…！」
「だから、だからっ…！」
彼が、ここで負けるはずがない。
そう、信じるしか無かった。
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SangriA(プロフ) - 轟沙季さん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです(>ω<)更新がんばりますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年3月25日 23時) (
レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
轟沙季 - この作品は素晴らしいです！続きも読みたいです！図々しいですが更新よろしくお願いします！ (2019年3月25日 13時) (レス) id: 558a8f9c64 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - アトさん» コメありがとうございます！いつの間にかこんなに長く…でも楽しみにしてもらえてるのすごく嬉しいです。これからもがんばります！ (2019年2月25日 21時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - りんさん» コメありがとうございます！いつも読んでもらえて嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2019年2月25日 21時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
アト(プロフ) - こんなに続いてる神作初めて見ました…！！フェアリーテール楽しみにしてます！！！！ (2019年2月24日 23時) (レス) id: 405929ea37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SangriA | 作成日時：2019年1月26日 20時
