一つの勝利と01 ページ13
「いずっくん！ 壊理ちゃん！」
治崎は倒れた。幹部たちも押さえられている。もう、脅威となるものはない。
しかし、
━━━━━━━━━━アァァアアアアアア！！！
「壊理ちゃん…！」
悲鳴か。あるいは、泣き叫ぶ声か。
治崎は、壊理が個性を制御できないと言っていた。つまり、これは。
「個性の、暴走…！」
己の個性に呑まれ、涙を流し、天を仰いで。
壊理は、その小さな身体が壊れんばかりに泣き叫んでいた。
「う、ぐっ……！」
「いずっくん！！」
背を丸め、苦しげに呻く出久。『戻されて』いるのだ。治崎の言葉が本当なら、このままでは彼が消滅してしまう。
「壊理ちゃん……エリちゃん！！」
どうすればいいかなんてわからない。個性の使い方なんて、本人にしかわからない。でも、何もしないで見ているなんてもうできない。
(だって、こんなに苦しんでる)
「エリちゃん！！」
「か、たりべ、さんっ…きちゃ、駄目だ！！」
「っ！！」
出久がAを押し留めた。彼は身体を破壊し続けることで接触しているが、自分が触れば、きっと…
「━━━━━━━━━━━っ！！」
ぞっとするとともに、何も出来ないことに歯噛みする。
「エリちゃん！！ エリちゃん、大丈夫だから！」
いや、ほんとはちっとも、大丈夫なんかじゃない。
(さっきよりも、力が強い…！)
離れていてもわかる。ブレーキすらかけられていない力が、そのまま放出されている。
どうする？ どうすれば？
(…！)
そしてその、視界の端。
「治崎っ…！」
執念。その一言に尽きる。
意識を失っていたはずの治崎が、またも巨大な手を生成し、出久とエリに襲いくる。
「させなっ……！？」
━━━━━━━━━━━━━━ブチブチブチっ
「！！」
エリの力に当てられたらしい。その手は瞬く間に巻き戻される。治崎と活瓶の融合も解け、今度こそ彼らは確保された。
(けど、こっちはまだ…！)
不味い。このままでは不味いと、本能レベルでわかる。
(何か、手は━━━━━━━━━━━━━━っ！？)
それは一瞬で、あっけなく。
「えっ……？」
とさりと、倒れ込むエリ。
「暴走が…」
おさまった。
「デクちゃん、トロイメライちゃん！」
「つ…フロッピー！」
その声がする方、梅雨に支えられた相澤がいた。彼が『見た』ことで、エリの暴走はおさまったらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 604人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
SangriA(プロフ) - イズモさん» コメントありがとうございます！轟氏は可愛いとかっこいいが同居してる最強キャラだと思います笑 これからもよろしくお願いします！ (2019年1月5日 10時) (
レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
イズモ - とっても面白かったです！焦凍が可愛い…… (2019年1月4日 19時) (レス) id: 0e0abeeec8 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - T.a!さん» こちらこそありがとうございます！これからも楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2018年12月26日 17時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
T.a! - 紹介見ました！ありがとございます！ (2018年12月25日 8時) (レス) id: db0d32bae9 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - T.a!さん» どうもですー。紹介項目追加したので見てくれたら嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2018年12月24日 23時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SangriA | 作成日時：2018年12月2日 1時
