人間誰しも悩むので ページ10
YS『Aー?入るでー』
『どした?』
ソファでゴロゴロ、ゲームしながら寛いでると、いきなりの来客
聞き慣れた関西訛りの声の主は
ふーっと深く息を吐きながら、私の隣に腰を下ろした
『何々?ご飯でも食べに来た?』
YS『ちゃうちゃう、ちょっとつまづいたから息抜き』
『ふーん…
あ、なんか見る?映画とか』
うちのグループには曲作りに励む人が数人いて
その内の1人であるヨシは、時折こうして私の家にやってくる
曲作りなんて難しいもの、私には出来ないし
それに伴ってアドバイスも出来ない
ただ、アドバイスが欲しいなら私のとこには来ないだろうし
ただの息抜きに来ただけだろうから
何も言わず、いつも通り過ごすことにしてる
イカゲーム見たいけど、オッパとジフンに禁止されてるからダメだし
何見ようかなぁ、なんてゲームを消してから
適当にリモコンを押して選んでると
大きな溜め息が聞こえて、その瞬間、ゴロンっと膝に頭が落ちてきた
『眠い?寝る?』
YS『今寝たら帰れる気せん』
『流石にヨシは持ち上げられへんから、寝るならベッドで』
アサヒとドヨンなら、ギリ持てるかもしれないけど
なんて言うと、確かにと笑いながら、ゆっくり瞬きして
きっとこのまま寝ちゃうだろうなぁ、なんて思いつつ
何度も染められた髪に、指を通して遊んでみる
YS『Aはさ、不安になったりしやん?』
『ん〜?
まぁなるのはなるけどな、表には出しちゃいかんよ、アイドルやもん』
人間らしいアイドルも勿論いいと思う、背伸びしない、等身大のアイドルがいていいとも思うし、それを目指したい
愛嬌苦手でも、変顔しちゃっても、ちょっと口が悪くても、それが私だから
ただ、それは全部見せるってことじゃないから
『感情とかって、意外と目に見えるもんやからさ
幸せは出してもいいけど、負は出したらあかんのよ
まぁ、これは持論やし、無視して』
ひけらかしたそれに引かれたらどうしよう、なんて思いつつ、いつの間にか止めていた指をまた動かせば、その手が緩く掴まれて
ずっとテレビを向いていた筈のヨシが、私を見上げるように頭を動かしてから、大丈夫と何故か私の頭を撫でた
YS『表じゃなくて、裏ならええんやろ?
俺らにちゃんと言うてな』
『…はいはい、ありがと』
もう早く、このまま寝ちゃえばいいのに
618人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そると。 | 作成日時:2023年10月12日 22時