花みたい、なんて ページ30
SJ「ヌナは花だってドヨンイヒョンが言ってたんですけど、どういう意味?」
「…変なこと吹き込まれたね、忘れていいよ」
可愛い弟から可愛い弟へ伝達されるそんな形容詞
嬉しくはないその言葉に、いつもいつも困っていた
テスト勉強に明け暮れる唯一の中学生
まだ分かる範囲でしょ、と半強制的に勉強を教えることになったけれど
ものの数分で休憩に入り、そんなことを言われた
分かってる、良い意味で言ってくれてることくらい
それでも尚喜べないのは、花はいつか枯れるから
「いくら水あげたって、枯れたら戻んない物には、なりたくないからね」
そう言ってから、短すぎる休憩を無理矢理切り上げさせ、教科書を指差して、ギリギリ頭に入っている知識を思う存分使うことにした
可愛い可愛いマンネに、こんな所は見せたくない
時折、自己嫌悪に陥りそうになる程、自分の卑屈さが憎くなる
素直に受け止めることも、言葉に行動に移すことも、恥ずかしいよりどう見られるかが不安で避けて避けて生きてきた
最も、例外はあるのだけど
PS「…花は、いつか枯れるけど」
「そんな話してないよ今」
PS「花は種を残して、その種が咲くんだって先生が言ってました」
「なぁに?授業で習ったの?
でも今やってるの社会だよ」
PS「だからヌナは花みたいなんだと思う」
「…何言ってんだか」
PS「ずーっと笑顔でいるのは難しい
花もずーっと咲いてるのは難しい
でも、周りにいっぱい咲かせるでしょ?
ほら、ヌナみたい」
勉強に全く関係無い話を、せっせと手を動かしながら話すジョンファンに、最後には何も言えなくなった
こんな幼い子に諭されて、新しい価値観に触れて
情けないと思う反面、純粋なその心の中を覗きたくもなる
どうかこのまま伸び伸びと育って欲しい
胃もたれするような世界になんて触れず、近寄らず、知らずに、ひたすら自分が信じる道だけを歩いてほしい
そうすれば、今の私みたいに、誰かに新しい世界を見せることが出来るから
「ジョンファナ、ありがと」
SJ「これはヌナが良く言う持論ってやつです
だからいつも人に言うみたいに忘れて下さい」
「んー、やだ」
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作者名:そると。 | 作成日時:2023年10月12日 22時