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天才的な曖昧さ ページ23

- fan -


「あ、こんにちは〜
ヒナです、皆さんお元気ですかー?」



ゆったりと始まったライブ
スマホの画面に映るのは、何処かの部屋で1人、手を振るラフな服装の彼女だった

何の告知もなく急遽始まったそれに、私を含むトゥメは大慌て
現にコメントは?と!で埋まっていた

それにしても気になるのは部屋
Aは作詞も作曲もしない筈なのに、映り込むのはあからさま過ぎるキーボードやマイク
だからと言って、他のメンバーのライブで見たことある部屋なのかと問われれば、ないと断言出来るほど、Aっぽい部屋



「 あ、気付きましたか?
このお部屋、私の作業室なんですよ
沢山の先輩に作れるなら作れば?って言われて曲作ってみたら、なんか受けてw
そのままお部屋もくれました
いつか皆さんにも私の曲が届くかもしれないですね」



なんてこった
この万能紅一点、更に万能になったみたいだ

驚きを隠せないのは私だけじゃない様で、またしてもコメント欄は?と!で埋まった

それをご報告したかったんですよ〜と笑う彼女は、どうやら今日スッピンみたいで、ステージやトレマで見る時より随分と幼く見える

私より3つ下だけど、そんな物じゃ済まないと思わせる童顔が、ステージでは人が変わった様に格好良くなるんだから、アイドルは凄いし、私の推しは凄い



「あれ?今日はオッパよりもオンニが多いですね」

-<え?!
-<名前だけで男と女の区別つく?
-<あぁ、ヒナオンニ、妹もいますよ…

「あの、覚えてますよ、結構
メッセージくれたりとか、サイン会とか覚える機会は沢山あるので
妹もいるの分かってるよ〜、ちゃんと覚えてる」



出来すぎてる
こんな出来すぎアイドル知らない
私が記憶力良すぎるのかな?と笑うのは、きっとメンバーがもし覚えてなくても責めないでって意味だろうし

こういうことを、みんなの名前を出さず、落とすことなく伝えられる彼女は、本当にチャレドルだ


それからは思い立ったらしく、突然部屋の紹介を始めた
機材やらの他にも色々なものが置かれてるそこは、どうやら思い出ばかりらしい



「これは、友達2人から貰ったやつです
昨日届いたけどなんとなく置いてます、可愛いし」



メンバーや先輩達からのプレゼントで埋まるそこに入ってきた不自然な友達
Aが指差すソファの上、きつねとりすのぬいぐるみがカメラを見つめていた

暗黙の了解となっているからか、名前が出ることはないし、コメントは彼女が言った可愛いに同意する物ばかりだったけど
きっとみんな、心の底から嬉しいと思っている

私は、ぼんやりと視界が歪む程には嬉しい

しかも昨日だなんて、彼らが離れてからもういくらか経つのに

・→←可愛いのは誇れること



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作者名:そると。 | 作成日時:2023年10月12日 22時

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