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希望的観測ですが ページ21

「イェダミって音楽愛してんだね」

YD「…何いきなり、らしくない」

「ふと思った」



ボーカルトレーニングを受けた後
ふとそんなことを言えば、随分と怪訝な目をこちらに向けてきた


昔からずっと思っていた
その才能は、努力した故で
その実力は、愛故だと

無論、その裏を全て知ったのは、宝石箱が終わってからだけれど



YD「もし、ヌナが言うように僕が音楽を愛してるのを見て分かるなら、ヌナが音楽に愛されてるからのも、目に見えると思います」

「待って、なんか難しいこと言ってない?」

YD「いや?
簡単にいうならこうです
アイドルになるべくして産まれた人」

「それ、前も聞いた」



2人だけの部屋の中、バッグの中を漁る音が耳を掠めながら、そんな言葉を私に届けた


先輩にも言われる、スタッフにもファンにも言われるその言葉

何を持って生まれればそうなるのか、私は良く分からない
多種多様で、十人十色なアイドルがいる中で、共通する何かがあるのかなんて知りもしない

そんな私の考えを見通しても尚、彼は私にそう言葉を届ける



YD「ヌナは、人からも愛される人です
その自覚はあります?」

「さぁ?」

YD「僕らがどれだけ示してもですか?伝わらない?」

「そんなことないよ、伝えてくれてる
でもね、自信はないんだよね」

YD「ん〜手強い」



なんだか帰るのも億劫になって

自然と2人椅子に腰を下ろして、楽に話を進めた



YD「昔からヌナは沢山の先輩達に愛されてきたでしょ
ただの練習生が、あんなに愛されるなんて、滅多にないことです
プライベートまで面倒みて頂けるなんて、事務所に言われた範囲を越えてるでしょ?」

「まあねぇ………」

YD「そういうこと
僕らよりも沢山の人に出逢って、沢山の人に愛されてる人が、ヌナを可愛がるんだから
それだけで、自信持っていい理由になるんだよ」



話がズレたね、なんて付け加えて腰をあげたイェダムは、そのまま私の手を引いて会社の玄関まで向かった


冬なのに、やけに暖かい掌は、きっと恥ずかしさが籠っているんだろう

普段言わないセリフを言うと、なんだかむず痒いのは良く知っている

今日、私が知れたのは
彼の中で、私が音楽と対等なのかもしれない、なんていう希望が微かにあることと
どんなことでも自信に変えていいってこと

可愛いのは誇れること→←・



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作者名:そると。 | 作成日時:2023年10月12日 22時

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