約束は破らない主義なのよ ページ14
MS『…いつまでやんの?』
『びっ、くりした…
おるなら言うてや』
1人、練習室に残って重ねていた練習
宝石箱の時と同じじゃない、この場に女は私しかいない
見た目を変える訳にはいかない
性別を変えたい訳じゃない
それでも、12人に馴染めなきゃいけない
浮いちゃいけない、変な注目なんて要らない
男女で違いが出る体の使い方
声は武器になれど、ダンスは合わせなきゃ意味がない
女らしさを消すためには、練習を重ねるしか方法が分からなくて、ひたすら鏡と向き合っていた時、ふと声がかかった
確認の為に撮影していた動画を見るために持っていたスマホは、マシホに奪われ私の手から離れ、そのまま彼のポケットに消えた
MS「ヌナってさ、なんでそんなに頑張るの?
女性らしさ消さなくても、武器になるんじゃ…」
「 ……私が、1人ならそうかもね
でもね、嬉しいことに仲間が出来たから」
そういうと、フッと短く息を吐いてから、私のキャップをピンっと弾いて床に落とし、顔を覗き込んできた
いつもと変わらない、昔から変わらないその笑顔は、見惚れるくらいに優しげで
本当に年下か、と疑う程に大人びていた
MS『誰も置いてったりしやんから
一緒に頑張ろ、仲間なんやしさ』
『…ん〜、先生にそう言われたら頑張れるわ〜』
MS『た・だ!
頑張ると無茶は別!』
弟に諭された、なんて思っていたら、いきなり声を張って、額にツンッと指を差してきた
驚いて何も言えない私を見て、ケタケタ楽しそうに笑って
そんな姿を見たら、まぁ面白いなら何でもいいか、と思えてきて
「帰ろっか、オンニまだ残ってくれてるから」
MS「うん、約束してくださいね」
「分かった分かった」
先に立って手を伸ばして私を立ち上がらせたマシホに、絶対破んないよと、小指を絡ませた
MS『ジフンくんにも伝えとくから』
『アイツに言ったら実力行使するやん、やめとこ?』
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作者名:そると。 | 作成日時:2023年10月12日 22時