ブルースターのすれ違い（3） ページ11
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葛葉のアドバイスを受け、Aは現在夜の街へと向かっている。・・・
「(めちゃんこ怖いんだけど・・・)」
Aがそう感じるのは不破のお客様に会うという理由だけじゃない。
「わー！お姉さんちょーキレイっすね！お金とか困ってたりしない？」
「・・・」
Aは無視して歩き進める。そう、夜職の勧誘が多いのだ。
「ちょっとかじっただけだし・・・」
実際、Aもそのような職についたことはあるが、いい思い出がない。
まぁ、この職のおかげで不破との縁が結びついたのだが。
そんなこんなで歩き進めること数分。不破の店付近に到着した。
「うわー、そうなんだ。へー、すごいね姫」
不破の声が聞こえた。
2年間、不破のたくさんの声色を聞いてきた耳は伊達じゃない。
〇〇が不破の姿を見つけ、そちらに向かおうとした時、不破が接客していた女性が不破の唇に自分のそれを当てた。
「なーにかわいいことしてくれるん？」
「へへ、したかったからしてみたー」
「(・・・マジか)」
思わずAはカバンを落としてしまう。
夜の街だ。そりゃあ騒がしい。
しかしながらなぜだろう。Aの耳には自分のカバンの落下音と、二人のリップ音だけしか聞こえない。
動くこともできない。立ち尽くすことしかできない。
そして更に残念なことが続く。不破とその女性客と目が合ってしまう。
「え・・・？Aちゃん？」
「湊この人知ってるの？」
思わず顔が引きつってしまう。
もうこの状況下に置かれてるのも苦しすぎて目を伏せた勢いのまま落としてしまったカバンを持って走り出す。
「ちょっ！Aちゃん！？」
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作者名：せりな | 作成日時：2024年2月3日 20時
