天然悲劇のヒロインなんて・・・1【稲荷崎】

一生懸命な後輩ちゃん ページ13

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夏休み、家で演奏をすると怒られるから私は学校に来て練習をしてた


何時もの空き教室は誰もいなくて静か

地味に稲荷崎高校心霊スポットだしねここ‥


私がここで弾いてる知らん人は放課後2年生の空き教室で謎の音が聞こえてくるなんて言うて盛り上がっとった


(私は幽霊やないで.......)



全く失礼な奴やな幽霊ちゃいます人間です



暑くなってわんちゃん外の日陰の方が涼しい説が頭に浮かび私は譜面台を持って外に出た

外からは聞こえないはずのトランペットの音が聞こえてくる。音に近づけば1人譜面台に向かって同じところをずっと吹いてる女の子が居た



(誰やったっけ、確かんーと、1年の.......えーと.......あっ、田中さんや！)



田中なんて苗字大量にいすぎて逆に覚えられへん。

田中さんは何やら譜面台に向かって唸っている



『どうしたん？』


気付けば勝手に近づいてて


田中｢あ、A先輩、お久しぶりです｣


『おん、久しぶりやな』


あんまり喋ったことないけど


田中｢ここ全然できなくて.......追い出されて｣

『あーここねムズいの分かる。

て言うか先生追い出すなんてスパルタやな。』


楽譜を見ると凄く難しいところで

苦戦するのもわかる気がする。


追い出すだなんて可愛そ。




『じゃあ一緒にやろや』

田中｢いいんですか？｣

『もちろんやで。』


私は誘って田中さんに教えた。

案外飲み込み早くてすんなり出来るようになった


田中｢あの！１回一緒に合奏して貰ってええですか？｣


もう帰ろうかなって思ってた時に突然合奏のお誘い。
私はもう一度楽譜を立てて一緒に1曲弾いた。


『うわぁ疲れるなぁこれ』

田中｢.......なんか以外です｣

『以外？』

田中｢A先輩ってあーいうグループ入ってるからもっと鬼みたいに怖かったり冷たい人なんだと思ってました｣


...わかるよ普通そう思うよね


田中｢でも全然ちがくて.......先輩の音なんか凄く優しくて暖かくてそれで上手で.......私何時か先輩みたいになりたいです！｣


『！ありがとなぁ、でも私みたいな奴なっちゃダメやで？そんでもって私は上手とかじゃなくてトランペットのこの音が好きなんや』


田中｢じゃあ楽器演奏者として先輩を憧れにします！｣


『おん、嬉しいで、それともうそろそろ戻った方が』

田中｢そうですね！ありがとうございました！先輩、全国一緒に弾きましょうね！｣

『.......考えとくで』


そう言い別れた私は自販機に飲み物買いに行った。

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