近くて遠い (ページ6)

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第5話～赤side～ページ6

大喧嘩？してから一度も会っていなかったA。

そいや俺と同じ高校やったな…。同じクラスになりたいけどなりたくない。

矛盾がましいというのは自分がよく分かってる。けどそう思わずにいられないのだ

入学式が終わったあとうらさんたちと会った。

うらさんはもうAと会ったらしい

少しだけだが大人っぽくなったと言っていた。

いいなぁ…。喧嘩なんてしなければよかったなぁ。そしたら今頃…なんて夢を見る

家路についてマンションの階段でAを見た。

「…A」

小さく呟いたはずなのに気づいたそうで俺を見てひどく傷ついた顔をして、掠れていたけど

あの頃と変わらない鈴のような優しい、綺麗な声で俺の名前を言った

『…優…？』

…まだそう呼んでくれるの…？

『…っ今…帰り？』

「…おん」

『そっか…じゃあね、おやすみなさい』

待って

グイッ

『！』

「まだ…怒っとるん？あんときの」

『あんとき…？大嫌いって言われたこと？あれは私も悪いし気にしとらんよ。

私もそのあと同じこと言うてもうたし』

ああ君は…どこまでも優しい

「じゃあ、じゃあ…怒って…ない？」

『おん、怒っとらん。寧ろ私が謝らんといけへんのになぁ。…優の方が大人やわ』

俺大人じゃないよ。我儘いっぱい言うてもうし…

もっとひどい子供みたいなのに

『優？大丈夫？私部屋戻ってええ？もう遅いし』

「え？ああ戻ってええよ。怒ってないって知って安心したわ」

『そう？…2回目だけど、おやすみなさい』

「…おやすみ」

今日はいい夢が見れそうだ