近くて遠い (ページ4)

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第3話～黒～ページ4

「で！」

『ふぇ？』

「あっその声かわいi…じゃなくて！なんの曲聞いてたん！？わしも聴いてみたい！」

単純に気になっただけ。なにをそんなに聴いたら哀しい顔になるのか

『ボカロってやつ。曲名は…なんやっけ。忘れたんやけど、これ聴くと落ち着くねん』

そう言いふわっとAは微笑んだ。

ああ、この子はどんなものを抱えているのだろう

『聴いてみる？棗も聴いたらハマるかも』

「聴く聴く！貸して！」

『クスクスハイ、どーぞ』

Aからヘッドフォンを借り、耳につける

左右から聴こえてくるのは優しくて、でも儚い歌声

これは落ち着くのもわかる

聴き入ってると
『なーつめっ。入学式行かなきゃいけんから並ぼー。気に入ったんならあとでまた貸したる』

「ほんま？じゃあまた貸してぇや！」

入学式かー。並ばなあかんからなぁ。

式が終わって(早くてすいません！)

『棗ー、帰りどっか寄らん？ミルクティーとタピオカ美味しい店知っとるんやけど。奢ったる』

タピオカ！！

「行く！」

『ならはよ行こか。人気さかいよく混むでぇ』

タピオカミルクティー…あるかな？

『ここや』

喫茶店“sweet honey”

『置いてくよー？』

「待って！」

『なるちゃーん、らるくーん？おらんの～？』

「はーい、いますよ…ってAじゃん。あいつらは？」

『いま喧嘩中だから気まずいんやて前も言ったで？』

「ふーん…その子は？」

『私の友達。黒木棗言うんよ。新しい高校の友達第1号どすえ(笑)』

「はじめまして。一ノ瀬彼方です。Aとは…従兄弟ってとこかな？よろしくねー」

そうふわふわした感じで彼方さん？はそう言った。

あれ？でもさっきらるくんって…

「ちなみにらるくんはニックネームのそらるから取った」

なるほど？

『らるくん。なるちゃんは？』

「後ろにいます」

『ひゃっ』

「どもー。Aのお兄ちゃん？の成瀬遥でーす」

A…男の知り合いいたんだ…。

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