FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - (ページ5)

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「何か用事でも有ったの」

買い物をしたものを冷蔵庫に仕舞って、ミストガンにお茶を出すとシャワーを浴びる。そして部屋着に着替えた後、荷物の整理をしていたらしいミストガンに声を掛けた。

「いや、これと言って用事が有った訳では無いんだ」
「……あ、そう」

あっさりと言ったミストガンに呆気に取られつつも、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。……にしても、妖精の尻尾の魔導士の中では比較的、効率的に動くタイプだと思っていたけど、計画もなく動くこともあるらしい。( そう言えば、さっきも…偶には良いかと思って、とか言ってたっけ )

「そう言えば、目的(・・)の方は大丈夫なの？アニマとか言ったっけ」
「嗚呼。見つけ次第、閉じてはいる。唯…」
「……唯？」

覚えていたのかと小さく呟いた後、目を伏せたミストガン。その表情は何処か暗いもので。言い淀んだ彼に、思わず首を傾げる。

「……年々、穴が大きくなっている」
「！ ……そう」

昔、聞いた話で朧気では有るけど…此処、アースランドとは別に有る世界・エドラス。所謂、平行世界というもの。ミストガン曰く…エドラスに住む人々は体内に魔力を持たず、魔水晶を組み合わせた道具を魔法として使用しているらしい。

然し、アースランドと違って有限である魔力。魔水晶を消費し続けたことによって魔力の枯渇が進みつつ有り、そのアースランドから魔力を補給する為に超亜空間魔法・アニマを発動しているようで。……ミストガンはその穴を封じる為に此方の世界にやって来たと聞いている。

「ずっと魔法と一緒に暮らして来て、魔力が無くなったらなんて考えたくもない事だけど…だからってエドラスとやらの犠牲になるのは御免だわ」
「嗚呼、分かっている」

エドラスの内情なんて関係無いと言ったら薄情かもしれない。けど…人の命を奪ってまで魔法を使おうなんて、間違ってる。返事通り、ミストガンもそれが分かっているからこそ、此方の世界に来てくれたのだろうし。

「……でもね、だからって貴方が無理して良い理由にはならない。お願いだから、無茶をして身体を壊すような事だけは止めてよ」
「……A」
「！？ ……ッ、なに」

急に立ち上がったかと思えば、私の方へとゆっくりと手を伸ばしたミストガン。彼の行動を不思議に思っていれば、急に腕を引かれて。突然の事に理解するのが遅れたものの、抱きしめられているのだと分かった。

「有難う、A」
「……それは、こっちの台詞。有難う、ミストガン」

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