FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - (ページ4)

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「…ん、どうぞ」
「済まない。失礼する」

珍しい来客に驚きつつも、鍵を開けてミストガンを中へと招き入れる。魔法とは便利なモノで、遠征続きで碌に帰れていない家も綺麗なもの。

「…家の中まで、そんな格好しなくても良いんじゃない？此処には誰も来ないから」
「それもそうだな」

部屋の中に突っ立ったままのミストガンにソファに腰掛けるように言ったものの、格好はそのまま。( 流石に家の中でその格好で居るのは何か、うん )

〝自宅でくらい何も(・・)気にせずに眠りたい〟という思いを汲んで、家の周りに守護の魔法を掛けてくれたのはマスターで。ミストガン程の人間なら、みなまで言わずとも気が付いたのだろう。ソファに腰掛けては、安心したように顔を覆っていたバンダナや布を取り払った。

顔を覆うものが無くなり、現れたのはさらりとした青髪。そして相変わらず、顔には不思議な紋章があった。

「久しぶりに見た気がする。貴方の素顔」
「ギルドに入る時には眠りの魔法を掛けるからな。君たちに出会った時はアースランドに来たばかりで、素顔を晒していたが……」
「分かってる。同じ顔が居るから、無闇に晒す訳には行かないんでしょう」

私は体質上…状態異常の魔法は効かないから、彼の魔法で眠る事はないけれど、彼が依頼を取りにギルドに来る度にギルドメンバーが眠らされているのは良く知っている。

素顔を知っているのは私以外にマスターとラクサスくらいなものだろう。( マスターは未だしも、ラクサスが知ってるのは謎だけど )

「Aの方は？」
「…何にも、変わらない」
「……済まない。俺が置いて行ったばかりに」
「謝る位なら、聞くの辞めてよ。前にも言ったでしょ？貴方にはやるべき事が有った。それに私たちを連れて歩くのは大変だっただろし……何より、油断してた私が悪いんだから」

私たちを育ててくれていた竜が居なくなり、たったひとり血の繋がった妹と探す旅に出て。そんな中で出会ったジェラール ── 基、ミストガンと共に旅を始めた。

けど…私達がずっと一緒にいれば、彼の目的に支障をきたすのは分かっていたから、置いて行くように言って。妖精の尻尾とは違うギルドに預けられたのは良いけど…ふとした出来事で、妹と離れ離れになってしまって。

紆余曲折を経て、妖精の尻尾に辿り着いた私を優しく迎えてくれたマスター。そして彼との再会。けれど、それは私だけがこのギルドに居る理由を話さざるを得ない状況ということ。全てを話し終えた時、自分の所為だと涙を流していたのを今でも覚えている。

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