FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - (ページ20)

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「ナツ！」
「おう！！」

村の高台へと登っては破邪の槍を月に向かって構えるエルザ。そして投げる瞬間、ナツが火を纏った拳を石突きの部分を思い切り殴り付けた。

「火力が足りないか…！？」
「ファイアメイク・竜(ドラゴン)」
「！届けェーーッ！！」

危惧したエルザの表情に、素早く火の竜を造り出す。ドラゴンは意思を持ったように動き、ナツの拳の時のように石突きへと頭突きをかます。そしてエルザの狙い通り、月へとぶち当たった破邪の槍。然し、そして派手な音を立てて、割れて行く月。── 否、割れたのは…

《月が近くて、吃驚したんだけど…良く見たら、島の上空を囲うような感じで邪気の膜が張っているみたいなんです》
「邪気の膜…。成程、〝月の雫〟によって発生した邪気 ── ガスのようなモノが、結晶化した事で空に膜を張った。だから、その所為で月が紫に見えた」

── 結晶化した邪気。そして村人が集まっていた場所は、光に包まれる。けれど、姿は戻らぬまま。然し、それは当然と言えば当然で。

「な、なんで？戻らないの？」
「邪気が彼等に被害を与えていたというのは間違いじゃないけど、それは彼等を悪魔へと変えたことじゃなくて…記憶(・・)の方」
「？？？」
「夜になると悪魔になってしまうという間違った記憶」
「え、じゃあ…あの人達は…元々、悪魔！？」

驚いたように目を見張るアクアに頷けば、あいやー！と頬を押さえる。( 表情豊かだこと ) そんな彼女の頭に手を置いて再び視線を下に向ける。

村人が記憶を取り戻し、死者が実は生きていたという感動の再会もあったよう。宴の準備が始まる中で、エルザがきょろきょろと辺りを見回しているのを見えたものの、参加するつもりはなく、帰ろうと立ち上がった。

「ねえねえ、A。参加して来ても良い？」
「ん、行っといで。…それから、指名の依頼が入ってたから暫くマグノリア離れる」
「分かった！」

参加しない事は察していたのだろう、ぴしっと敬礼してエルザ達の方へと飛び立ったアクア。そして島の外へと向かい、再び朱雀を喚び出しては大きく変化して貰って自宅へと戻った。

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「アクア。Aは？」
「元々村人に姿見せてないからって、さっき帰っちゃった」
「彼奴らしいな」

Aと分かれて、エルザ達と合流。彼女の言葉にそう答えれば、仕方ないと言いたげに眉を下げて笑う。ナツが、そう言えば何しに来たんだ？と首を傾げた事には、見えぬ所で頑張ってくれていたんだ！と拳骨を落としていたけど。

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