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廉side
「きっしさーん、帰ろー」
「ごめん、今日委員会あんだわ!!遅くなるから先帰ってて!」
すんごい量の書類を持って汗だくで教室から出て走っていく岸さんと手を振り合って
俺とAは教室を後にする。
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後から、「岸くん、書類これも!」と、
岸さんと一緒に委員会入ってる日南田さんが追いかけていく。
喋ってる日南田さん、初めてみたかも。
いつも窓際の席で本読んでるから。
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『…岸くん、忙しそうだね。』
「んなぁ。去年実行委員俺やったけどクッソ忙しかったもん。でも実際2年の方が仕事増えそうやし。」
『ぁあ、そういえば去年れんれんだったねー。』
「Aが俺と一緒に帰られへんからって拗ねてたよな、?」
『そうだったっけ?』
「おいおい、とぼけんなや。俺覚えとるから。」
『ふぅん…。』
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「…岸さんと一緒に帰れなくて寂しー?」
『?!え、?!』
図星かい、ってくらい勢いよくこちらを振り向くA。
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「優太が体育祭実行委員なってから、かれこれ3日は一緒に帰れてへんやん。」
『うん…』
「ほぼ毎日一緒に帰ってた俺らにとったらデカいよ、3日って。」
『そうだね…、ちょっと寂しい…、かも。』
珍しく素直なAの気持ちを聞けて
何故か俺がニヤニヤしてまう。
岸さん聞いたら喜ぶんやろうなって。
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…あ、そうや。今日言わなあかんかった。
「A、あのな。」
『なに?』
「追い討ちをかけるようで申し訳ないんやけど、俺も明日から一緒に帰られへんと思う。」
『…っ?!なんで!?』
「サッカー部の練習!今は朝練だけやけど明日から放課後も練習することになってん。
ちょうど体育祭でもサッカーあるし、先輩気合い入ってんのよな。」
『そう…なんだ…仕方ないね。』
「そんなシュンとすんなやー!体育祭終われば岸さんも空くんやし!」
俺は浮かない顔のAの肩を軽くポンポンと叩いた。
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「一人でも気ぃ付けて、寄り道せんとまっすぐ帰るんやで?」
『…私のこと何歳だと思ってんの。」
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作者名:脈 | 作成日時:2020年5月6日 20時