彩天、色帰て [序章]【F.T/BLE.ACH】 (ページ16)

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第十三項ページ16

急遽始まったお泊まり会から一夜明け、

まだすやすやと眠っているルーシィの隣で目を覚ましたA

今日はのんびりと買い物をしたりして過ごす、と昨夜彼女から聞いていたので、

起こさないようにそっとベッドから退き支度をする

『(とはいっても洗顔、歯磨き...着替えくらいか)』

さっさと済ませて昨夜の続きをしようとソファに座り画面を開く

暫くして後ろから声が掛かり、起きたのを確認して挨拶を返した

「え...A...、だよね」

『？あぁ』

「髪長すぎない!?!?」

『......昨日寝る前にも見ただろ』

「あぁ〜、眠くて覚えてない...あはは」

左肩近くで纏めていた髪は下ろすと床に付くほどの長さで、

ギルドで出会ったときの結んでいた姿とはまた違う印象だった

驚いていたのも束の間、彼女はそのまま即座に風呂に向かっていく

準備も整ったみたいで、軽く朝食も済ませる

「Aもお風呂入ってきたら？」

『じゃ、お言葉に甘えて』

タオルの場所を叫ばれながら脱衣所に向かう

何やらソワソワしながら提案したことに不思議に思ったAも、

見られたくない事があるんだろう、と何も訊かなかった

「(ふう、手紙書けたっと)

今日は一緒に買い物して、のんびりしよ〜」

一息ついて落ち着くなぁ、と惚(ほう)けていると、

Aの声ではない、明白に低い声が耳に届いた

「いいとこ見つかったなぁ、ルーシィ」

「不法侵入ー!! しかも人の家で脱ぐな!!」

驚愕すぎて蹴りを入れるルーシィに弁明をするグレイ、互いに悪すぎる

流石にこの大声での騒ぎは家中(・・)に聞こえているわけだ

.

『まだ騒いでるの？』

お怒りのルーシィと誤解だの今日はアレの日だと、

声量は収まったもののまだ言い合っている二人の前に

シャワーを浴び終え、戻って来たA

「あ、A! 聞いてよ〜!!」

「ぇ...、A...なのか」

声は聞こえて来ていたのである程度把握しているものの

何をまだ揉めているのか尋ねると、

まだ勝手に入って来たことに不満げなルーシィはそれを彼女に伝えるべく側に寄り、

その後ろではグレイが、じっとAを見つめ次第に頬が赤くなっていく

ゆるっと着ている浴衣に、まだ濡れて髪を下ろして何？という表情で立っているA

客観視すると、何とも不思議で滑稽だった