【BL注意】僕は人間ではないようだ。【吸血鬼】

he's an enigma. 1 ページ5

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「起きろ、おい」

体全体を揺すられ眉に皺を寄せながら、嫌々薄目を開ける。

寝ぼけ眼に映ったのは先程僕に異物を飲ませた男、その男は僕の顔を覗き込むように見下ろしていた。

まだ眠りかけだった頭も急激に動き出して、状況把握しようと必死に辺りを見回した。どうやらここは見た目的にも僕の部屋だという事がわかるが、なんでこの男が。


夢じゃなかったのか、この男が僕をここまで連れてきたのか。


“佑月(ゆずき)は無事なのか”


体から血液がすーっと覚めていく感覚がわかる。実際に佑月(ゆずき)が亡くなった姿を見たわけではないが、ノコギリ男が佑月(ゆずき)の部屋から出てきたということは。

いや、そんなことはない。きっとどこかへ逃げているはず。
そう思いたいだけなのかもしれないけど。

生唾を飲み込み、目の前の男を見つめると僕と目が合うなりニヤリとした笑みを浮かべる。不気味だ。

僕の思考を読んだかのように男は言葉を発する。


「全て日常に戻った、お前を除いて。信じられないなら鏡を見た後に確認しに行くといい」


僕は恐怖を感じながらもゆっくりと上半身を起こす。そして自分の両手を見るとしっかりと五本指がついているのを確認する。

良かった……って違う！

慌ててベッドから出て、洗面台に向かう。男ものそのそとついてくる。


鏡にはいつも通りの自分が映っている。しかし、何かが違う。


「あ、あれいつも通り……？」


目を擦っても消えることがない。おかしい。僕の瞳は日本人らしく少し焦げたような茶色だったはずなのに、これじゃまるで。

ノコギリ男の瞳みたいだ。血液で染めたような赤色になっている。
目を閉じてぷにぷにと触れてみると、確かに眼球そのものに触れた感触がある。

おかしい、義眼でもコンタクトでもなさそうだ。
洗面台に行けっていうのはこれを見ろという事だったのか。

鏡越しで男を見るが、相変わらずこちらの様子を伺っているだけだ。

再び目を閉じた後、大きく深呼吸をする。
瞼を開くとやはり赤い。血のような色をしている。


目を確認したしひとまず、男に問い合わせる前に佑月(ゆずき)のところへ行こう。



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