Prologue 3 ページ3
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階段をゆっくり登って一階、二階、三階と自分の住んでいる階に着いた。
すると、
「の、除くぐらいは良いよね。幼馴染だし」
自分に言い訳するように呟いて、恐る恐る覗いた。
瞬時に鼻孔をくすぐる、鉄のような嫌な匂いに、目に飛び込んでくる赤い水溜まり。
何かが引きずられたような痕跡が
自分でも何を思ったのか引き寄せられるように、玄関に足を踏み入れる。痕跡を辿り
そこには先程よりも新鮮な鉄の香りが充満して、処刑台で首だけが切り落とされたように無惨に首が転がっていた。先程から探していた幼なじみのその父親と母親と思われる、生首、血液。
感情の起伏より先に体が腐乱臭にやられたのか、危険反応を起こしたのか、胃液が登ってくる。咄嗟に口を塞ぐが、びちゃと音を立てて床に落ちる。
来る、そう思った。なぜだか分からない、でも背中に悪寒を感じた。
「まだ1人居たのか」
背後からの声に驚き振り返ると、
返り血であろう赤い液体を被っている。
逃げないとヤられる、でも玄関に近いのは男の方だ。
嗚呼神さま、いるなら助けて。
好奇心に負けて家に入ったことを後悔しながら、先ほど吐いた自分の吐瀉物まみれの手を重ねて祈る。
しかし、祈りが届くはずもなく男はこちらへ一歩ずつ近づいてきた。
そしてその距離は0になり、僕の肩に手を置いた。
血液よりも赤黒いような瞳がじっくりと、僕の顔を見つめる。
「お前、兄は居るか?」
恐怖で声も出ない僕は必死に首を横に振る。
「じゃあ弟は?」なんの質問なのかと、思いながらもまたもや僕は首を振った。
「なんだ、勘違いか」
安堵したような表情をする男と対に、僕はもうどうしようもないこの状況に絶望していた。
そんな僕を見て男はニタァっと笑うと、持っていた刃物を振り上げる。
リビングで見たように首を落とされるんだろうか、そう思い目を瞑りその時を待つ。
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夕夜 - とっても面白いです!続き待ってますね。応援しています!! (5月7日 22時) (レス) @page43 id: 19daafe7ae (このIDを非表示/違反報告)
地銀(プロフ) - kemさん» ありがとうございます!CSSは自作です( ; ; ) (2022年7月31日 4時) (レス) id: ace2098bf5 (このIDを非表示/違反報告)
kem - めっちゃ面白いです!!!!CSSってどこのつかってますか?? (2022年7月31日 1時) (レス) @page19 id: c443e77f26 (このIDを非表示/違反報告)
地銀(プロフ) - あーちゃん様さん» 有難うございます!頑張ります( ; ; ) (2022年7月29日 1時) (レス) id: ace2098bf5 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん様 - 更新待ってます‼めちゃめちゃ面白いです‼ (2022年7月28日 19時) (レス) @page7 id: 875565d54e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:地銀 | 作成日時:2022年7月28日 7時