【BL注意】僕は人間ではないようだ。【吸血鬼】

bloom.6 ページ28

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「A。お前の能力は治癒なのか？」


突然の質問に「何を今更…」と戸惑いつつも、首を縦に振る。
先程儡(ライ)さんを治してみせた時はスルーしてたのにどうしたんだろうか。

そんな僕の様子を見て、彼は少し考えるような素振りを見せた。

すると彼はおもむろに立ち上がって何かを探し始める。
しばらくして戻ってきた彼の手には手袋がはめられその手には、きらりとしたものが乗せられていた。

それを目の前に差し出され、反射的に手を出して受け取ると、それは綺麗なネックレスだった。


吸血鬼が持つには不釣り合いな十字架。

十字架の中心には小さな紅い石が埋め込まれていて、とてもシンプルだけど、その分高級そうな作りだ。


これをどうしろと、と困惑して儡(ライ)さんを見れば、彼は無言で僕の手からそのネックレスを取った。
そのまま慣れた手つきで僕の後ろに回り、首に通してくれる。

されるがままになっていると、最後にカチリと音がして、その音と共に鎖の長さが調節された。


「これは本来ダンピール用の護身用器具(アクセサリー)として使われているもので、持ち主の危険を守るようにと作られている。」

「え、っとダンピールって？」

「吸血鬼と人間のハーフ。血を飲む事を生業としない吸血鬼と言えば分かりやすいか？」


僕の問いかけに対して、彼は淡々と説明をする。
しかし、何故このタイミングでこれを僕に渡してきたのだろうか。


「今後未(ヒツジ)に利用されたりした場合の、抵抗の手段だと思っておけばいい」


僕が疑問に思っている事に気付いたのか、彼はそう付け加えた。
つまり護身用にこれを身につけておけということらしい。

でも僕としてはありがたいけど、そんな貴重そうなもの僕が持ってていいのか。


「こんなふうにAに危害を加えようとすると……」


そう続けると儡(ライ)さんは徐に手袋を外して、僕の顔に向かって腕を振り下ろす。




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