【BL注意】僕は人間ではないようだ。【吸血鬼】

bloom.4 ページ26

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不老不死で、血を飲まずにいたから怪我は治らずそのままこの状態だったってことか。
それにしてもあの傷の量は……、何かあったんだろうか。


「……そういや、A。あいつらのところに戻らなくていいのか？」


しんみりとした空気を払拭するように、彼が突然思い出したように聞いてくる。
そういえば、すっかり忘れていた。

まだ口論中かもしれないなぁと思いつつ、そろそろ行かないと、と立ち上がると腕を引っ張られる。
何事かと思って振り返れば、彼もまた立ち上がっていた。


「俺も行こう。

……巻き込まれたら管理人が怒るからな」


言い訳を付け足すようにそう言うと、僕の手を引き、部屋の扉へと向かう。
その行動に驚いている間に部屋を出てエレベーターへと乗り込む。

診察室へ着くまでの間、丁度いいからと先ほど聞きそびれた事を口に出す。


「そういえば、さっきの熱は何が原因なんですか？」

「……笑わないか？」

「？はい」


少し気恥しいような表情を浮かべて、彼は言った。


「寝冷えだ。読書の合間に寝てたら風邪を引いた」


一瞬何を言っているかわからずポカンとするが、すぐに理解して吹き出した。

吸血鬼にも風邪を引くんだなと思うと面白くなってつい笑ってしまったのだ。
すると彼はバツが悪そうに僕を見て、笑うなと言っただろ！と怒った。

そんなやりとりをしながら、ふと思った。
もしかしたら、この人は意外と話しやすい人なのかも、勝手に寡黙な人と決めつけてしまっていたけれど。


「寝る時はちゃんと布団かけて寝てくださいね」


笑いながらそう言えば、彼は不機嫌な顔のまま分かったよ、とぶっきらぼうに返事をした。

それから数分後。ようやく辿り着いた診察室の扉前に立つと、そこには案の定口論をしている一護(イチゴ)と未(ヒツジ)さんの声が漏れてくる。

そして、それを呆れた様子で「くだらない」と一蹴(いっしゅう)する儡(ライ)さん。


「鞄も回収出来たし、先に部屋に戻る事にします」


僕が苦笑いしながらそう言うと、再びきた道を戻るようにエレベーターに乗り込んだ。



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