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「それじゃ、風呂入って来ますね」
だいぶ身体が楽になったため、食事も作る事ができた。
二人で夕食をとり、お互い満腹になったところでそう告げる。
そして風呂へ行ったのが30分ほど前。
髪を拭きつつリビングに戻って来れば、其処には当然彼の姿がある。
風呂上がり。それを待つ好きな人。
なんだかこれからいけない事をするような感覚というかなんというか、兎に角彼がいる事に、なんとも言えぬ幸福感が湧き出てきた。
だが当の本人は、というと…。
「春さん…？」
彼はソファーに座ったまま眠っていた。
微動だにしないその姿は、彼の浮世離れした容姿から宛ら人形のようである。
…なんだか静かすぎて怖い。
無機物さは彼らしいのだが、やはり心配になり耳を澄ませた。
よかった。微かに寝息が聞こえる。
「まるで人形だな…」
小さく呟きジッと見つめる。
ちゃんと見る機会など中々無いから目に焼き付けておこう。
彼を覗き込みつつそう思ったのだが、見守っているつもりがつい俺は手を伸ばしてしまっていた。
彼は触れた途端に壊れてしまいそうだった。
その儚さが少し怖い。
だが差し出した手は引けず、思わず触れた頬からは微かな温かさがあった。
滅多にない機会だと食い入るように彼の顔を見てしまっていたのだが、突如ぐいっと身体を引っ張られる。
そして俺は思わず倒れ込み、彼に覆いかぶさってしまった。
「えっ、春さん！？」
俺を引っ張ったのは確かに彼で、思わず顔が熱くなる。
今の俺は絶対にかっこ悪い。
色々期待してしまう俺だが(健全な男子高校生なので)、こんな顔見せられるはずが無く、熱を冷ましつつまた彼を見た。
当の彼は眠そうに目を擦りながら、むすりと険しい表情をしていた。
低血圧なのだろうか。
とはいえこの状況は心臓がもたない。
「秋ちゃん…勝手にベッド入ってくんなっていっつも言ってるだろ」
一瞬、時が止まったかと思った。そして背中に嫌な汗が走る。
どうやら寝惚けているようで、彼は俺を抱きしめたまま また眠ってしまった。
結局身動きが取れない状態である。
だが俺は、素直に彼に抱きしめられている事を喜べなかった。
彼の言う、“秋ちゃん”とは一体誰だろうか。
もしかして彼女だったり…。
考えたくもないことが頭をよぎる。
そんな事が本当にあった暁には、俺は平静を保てる自信がない。
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Td(プロフ) - ともえさん» ありがとうございます。検討致します (2018年12月17日 19時) (
レス) id: 7b29245002 (このIDを非表示/違反報告)
Td(プロフ) - ミオさん» こちらこそありがとうございました。検討します。 (2018年12月17日 19時) (レス) id: 7b29245002 (このIDを非表示/違反報告)
ともえ(プロフ) - 面白かったです！続編希望です！ (2018年12月17日 8時) (レス) id: 3030554e8b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 面白かったです！ありがとうございました！続編希望です！ (2018年12月17日 2時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
怠惰(プロフ) - 油菜さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです！ (2018年3月8日 6時) (レス) id: 49a9a48379 (このIDを非表示/違反報告)
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