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「会長…」
マジ天使。俺の天使。好き。
アホなことを考えた割に、思ったよりも出た声は弱々しく、くぐもり掠れてしまっていた。
安心したせいかじわりと目頭に熱いものがこみ上げる。
こんなことで泣くだなんてかっこ悪過ぎる。
しかも会長の前で。
だが泣くほど参っていたのも事実で、安堵の息を漏らしつつ恥ずかしさに俯いてしまった。
「送る。一人じゃ危ない」
会長はそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、すぐに視線を背け、落としたままの傘を拾い上げた。
何を考えているのかその硬い表情からはわからないが、ただただ不器用な優しさに感謝しかない。
差し出された傘を、すみません、と言って受け取る。
今彼は学校帰りなのだろう。
この道の先には駅がある。きっと会長はそこに向かう途中だった筈だ。
もう一度傘をさそうとすれば、それを制止され、代わりに会長のさしていた傘に入れてくれた。
つまり、相合傘。
彼は善意オンリーで、そんなことはまったく考えていないだろうが。
うん、やはり涼しい顔をしている。
ドキドキと鼓動が騒がしいのは自分だけ。
会長にまったく意識されていない。
その事実に少々腹がたつ。
仮にも好意を向けられている相手の家に向かうというのに、危機感も何もないらしい。
いや、俺が好きだということも知らないのだろう。
相変わらず足取りは不安定だが、側に会長がいるためか先ほどのように動けなくなることはなかった。
彼とは何も言葉を交わさないが、ずっと歩調は合わせてくれているし、傘を俺にばかり寄せてくれる。
そのせいで会長はすっかり濡れてしまっていたが、ここで断れば彼の優しさを踏みにじる行為だ。
だからこうして、大人しく彼の優しさを受け取っているのである。
「ここまでで大丈夫だな」
いつの間にか自宅についていたようだ。
なんだか時間が経つのが早かった気がする。
これからまた一人になるのかと考えると、途端に寂しさに襲われた。
ああ一人はいやだ。
そう思うや否や、思わず縋るような言葉を漏らしていた。
「上がっていってください…会長、お礼したいです」
もう言ってしまったものはしょうがない。
随分と思い切った発言だが、これが本心だ。
今更弁解する気はさらさらなかった。
鈍感な相手を少し困らせて見たいのだ。
彼はというと、一瞬だけ驚いたように目を丸くした。
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Td(プロフ) - ともえさん» ありがとうございます。検討致します (2018年12月17日 19時) (
レス) id: 7b29245002 (このIDを非表示/違反報告)
Td(プロフ) - ミオさん» こちらこそありがとうございました。検討します。 (2018年12月17日 19時) (レス) id: 7b29245002 (このIDを非表示/違反報告)
ともえ(プロフ) - 面白かったです！続編希望です！ (2018年12月17日 8時) (レス) id: 3030554e8b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 面白かったです！ありがとうございました！続編希望です！ (2018年12月17日 2時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
怠惰(プロフ) - 油菜さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです！ (2018年3月8日 6時) (レス) id: 49a9a48379 (このIDを非表示/違反報告)
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