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言えない。なんでも出来る貴方が羨ましくて、自分が情けなく見えてしまったなんて。
「……A」
「……」
「A、こっち見て」
「嫌です」
「なんで」
「…………見たら、なに考えてるか、簡単に当てちゃうから」
こんな子供っぽい感情なんて知られたくない。折角お母さんになれたのに、お母さんらしいことが全然出来てない自分に幻滅してることなんて、知られたくない。
なのに彼は、一旦立ち上がって朝陽をベビーベッドに寝かせると、すぐにまた私の正面に戻ってくる。そして片手で私の顎を持ち上げると、じっと垂れ目の双眸でこちらを見つめてきた。
言葉を紡ごうを開いた唇は、そのまま呆気なく塞がれてしまった。触れるだけの軽いキスだったけど、彼の心に渦巻く感情がダイレクトに感じ取れるような、そんなキスで。顔を離した彼は間髪入れずに私を両腕で抱き締めた。
「Aはちゃんとお母さんだよ」
「っ……」
「だから時々、自分のこと許してあげてよ。もう休んで良いよって」
「……うん」
「ん。よし、じゃあ、俺今日ご飯作るよ。Aは休んでて」
「え、でも」
「良いから、ほら。大福と遊んできなよ」
拳さんに背中を押されるようにして、眠っている大福の元まで足を運ぶ。申し訳なさもあったが、スヤスヤと眠っていた大福は私の気配を察知すると、今までなんだかんだ遠慮してくれていたのか、構ってくれると知ってすぐに私の足へすり寄ってきた。
今まであんなにもツンデレだったのに。すり寄ってくるなんて、こんなことなかったのに。
「大福も心配してんじゃん」
「……だ、大福ぅ〜〜！！！」
「うにゃ」
「あ、逃げられた」
「だいふぐぅううう！！！」
なはは、と彼の独特な笑い声がすぐ傍から聞こえてくる。なんでかは分からない。なのに今は、とてつもなく心が軽い。背負っていたものが半分、いやそれ以上に減ったみたいで、込み上げてくる感情と共に彼に抱きつく。
突然の衝撃によろめくも、私をしっかり受け止めてくれる拳さん。こんな素敵な人、後にも先にもこの人だけだ。この人だけは、絶対に手放したくない。私はこの人と、ずっと一緒にいたい。
「拳さん大好きだー！！」
「急になに。俺は愛してるよ」
「それは反則じゃないですかね？」
．
．
―――よし、私よ、よく聞け。貴様に休んでも良いという許しを与えよう！ありがたく思えよ私！
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eze(プロフ) - 完結おめでとうございます！夫シリーズ大好きで更新されていることに驚いてやってきましたが、最後の最後まで面白く読ませていただきました。今後も楽しみにしております。 (2020年12月21日 22時) (
レス) id: 823d0abd48 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - 完結おめでとうございます！白菜さんの作品の中でもこの作品はめちゃくちゃ好みでした！！最後のブーケトスのオチまで完璧でしたね笑 思わず笑ってしまいました笑 これからも応援してます！！ (2020年12月21日 19時) (レス) id: ecdf86f4c4 (このIDを非表示/違反報告)
ピーチフラペチーノ - 終わってしまったぁぁぁぁぁ！！！ぴえん。 (2020年12月21日 15時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 完結おめでとうございます。とても面白かったです。最後にko-chanが幸せになったのは「よかったなぁko-han！！」と少し興奮しました。私の最押しも出てきてくれましたし……めっちゃ良かったです！ところで、小森ちゃんって他の話に出たことありますか？ (2020年12月21日 5時) (レス) id: 60ae3ef212 (このIDを非表示/違反報告)
ソル(プロフ) - 更新欄にあって発狂しました。大好きです。お話 (2020年12月20日 21時) (レス) id: 744fb08bfc (このIDを非表示/違反報告)
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