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彼が出ていくだけで、シーンと静まり変える廊下。未知の体験である出産を間近に控えているせいか、前までは全然平気だった一人でいるこの時間が、最近はあまり好きではない。
あれから母達からの急かしも無くなり、別にストレスになるようなことは無いのだが……やはり知らない事はどう頑張っても怖い。
「大福ーご飯だよー」
「なーお」
気持ちを切り替えるように頬をペシンと叩いて、リビングに戻る。リビングではブラウンのソファーを一人占領している白い餅が居て、餌を入れた入れ物をカラカラと鳴らせば奴はタッタッと直ぐ様足元までやって来た。ふっふっふっ、釣られたな貴様？
とは言っても、こんなにもデカいお腹で足元の大福を持ち上げるのはかなりの至難の技であり、結局諦めて餌だけを与える。前までは餌で釣った大福を抱き上げて、顔を擦り擦りして、そしてキレた大福に殴られていたのだが。
思えば最近はそんな些細な事ですら全く出来ていないように思う。
『―――大丈夫、俺も居るよ』
そう彼に言われて子供を産む決心をしてからというもの、彼は色んな場面で私を助けてくれた。
貧血になってベッドから起き上がれなかった時は、自分も仕事で大変なのに率先して家事をしてくれて。吐き気や食欲不振が起こったときは、すぐにトイレに連れていってくれたり、食べやすいものを作ってくれたり。
お腹が膨らんで生活に支障が出るようになってからは、買い物は必ず彼が行ってくれるようになって。しかも体調の変化にはすぐに気づいてくれて。常に、彼に頼りっぱなし。
産婦人科の先生には「それで良い」と言われたけど、彼の仕事が大変なことくらい、同じ会社で働いていたのだから分かる。伊沢さんとかだって「いやー、星宮さんがうちの会社初の産休取得者かー」なんて笑って見送ってくれたけど、本当はかなり大変な思いをさせてしまった筈だ。
あーもうほんと、周りに支えてもらってばかりの自分が嫌になる。
「なー」
「……あ、ちょ、大福ー？」
ここ最近の癖になりつつある自己嫌悪に浸っていると、突然カリカリと餌を頬張っていた大福が僅かに開いていた扉から外に出ていく。別にどこに行こうが勝手なのだが、間違えて閉め出してしまうと後々困る。あいつ割とどこでもおしっこするし。
そんな事を思いながら大福の後を追おうとした―――その時。パンッという音と共になにかが破裂したような感覚がし、そしてざーっと大量の暖かい液体が流れ出てきた。
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eze(プロフ) - 完結おめでとうございます！夫シリーズ大好きで更新されていることに驚いてやってきましたが、最後の最後まで面白く読ませていただきました。今後も楽しみにしております。 (2020年12月21日 22時) (
レス) id: 823d0abd48 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - 完結おめでとうございます！白菜さんの作品の中でもこの作品はめちゃくちゃ好みでした！！最後のブーケトスのオチまで完璧でしたね笑 思わず笑ってしまいました笑 これからも応援してます！！ (2020年12月21日 19時) (レス) id: ecdf86f4c4 (このIDを非表示/違反報告)
ピーチフラペチーノ - 終わってしまったぁぁぁぁぁ！！！ぴえん。 (2020年12月21日 15時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 完結おめでとうございます。とても面白かったです。最後にko-chanが幸せになったのは「よかったなぁko-han！！」と少し興奮しました。私の最押しも出てきてくれましたし……めっちゃ良かったです！ところで、小森ちゃんって他の話に出たことありますか？ (2020年12月21日 5時) (レス) id: 60ae3ef212 (このIDを非表示/違反報告)
ソル(プロフ) - 更新欄にあって発狂しました。大好きです。お話 (2020年12月20日 21時) (レス) id: 744fb08bfc (このIDを非表示/違反報告)
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