【Q|K】夫に砂糖対応されている件について【fkr】

【番外編】末永く爆発しろ！ ページ44

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The love that lasts the longest is the love that is never returned.
最も永く続く愛とは、決して報われぬ愛のこと。






イギリスの小説家兼、劇作家のウィリアム・サマセット・モームの名言。
率直な感想としては、認めたくはない。だが現在の自分の状況を鑑みて、自分の感情を一切交えず、客観的に感想を述べるとするのならば、その通りだ。
多少なりとも例外はあろうとも、少なくとも、俺はこの名言の状況に当てはまっている。


福良さんとAの仲が深まっていくのを、ただ横で見ていることしか出来なかった、臆病な奴こと俺。多分だが、きっと今のこの状況も、臆病でなにも行動出来なかったつけが回ってきたのだろう。
今現在俺の手元には、全くもって存在すらも信じていない神からの、新手の嫌がらせかなにかなのか。皮肉にも大好きで堪らない友人、兼想い人からの、結婚式の招待状。勿論、主役はその想い人だ。

なにが悲しくて、自分が想い焦がれている相手のウエディングドレスを、こんな形で見なければならないのか。俺そんな前世で悪事やらかしましたかね。割と得積んできた方だとなんの根拠もなく思ってんすけど。



「……でもまぁ、これで来ちゃう俺も俺なのかなぁ」



招待状片手に、そんな独り言をぼやきながら見上げているのは、招待状に記載されていた教会。特段大きすぎる訳でもなく、どちらかというとこじんまりとした感じの、派手すぎない教会だ。あの二人らしい。



「あ、航平！なになに、今日一番乗りじゃん！明日は雨？」

「っうるさいなぁ、俺だって早起き出来ますぅ！」

「そう言ってこの前30分遅刻してたけど」

「……いや、あれは、道で困ってるおばあちゃんが居たから遅れただけだし」

「目ぇ泳いでんぞ」



あははっ、とどことなく福良さんに似てきた笑い方を披露して、現れたとき同様、彼女は嵐のように去っていった。化粧の途中に抜け出してきたのか、扉越しにメイクさんに怒られている声が聞こえてくる。

……いつもと違って、髪を頭上で纏めたヘアスタイル。所謂、お団子というやつだろうか。前までのAはボブを好んでいたけど、流石に3年も切らずにいると髪も大分伸びた。それ故の、あのスタイルだったのだろう。
きっと、あの髪型も、福良さんの為に色々悩んで決めたんだろうな。無意味だと分かっているのに、無性に醜い感情が心を蝕んで、会場の方に歩みを進める。

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