【Q|K】夫に砂糖対応されている件について【fkr】

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そんなある日、星宮さんと、彼女の隣のデスクである山本が親しげに話している姿が目に入って、思わず手元から視線をそちらに移す。未だに、俺には一度も見せてくれない心からの笑顔で、楽しそうに話す星宮さん。

一体、彼と俺の、何が違うのだろうか。出会った頃だって、殆ど変わらない筈なのに。



『……なんか』



嫌だな。


そこまで考えて、パチッと彼女と目が合う。慌てて目を逸らすと、視界の端で彼女が首を傾げている様子が見えて、心の中でごめんなさい、なんて謝る。謝るくらいなら逸らさなければ良い話なのだが。



『あ、そういえば福良さん、奥さん元気にしてるんすか？』



そんな時、俺達の事情をなにも知らない伊沢にそんな質問をされて、チラッと彼女の様子を窺う。



『ぶふっ！！』



案の定大袈裟なリアクションを披露していた。こうちゃんと友人関係だという星宮さん。彼のリアクションスキルでも移ったのだろうか。それとも元々あれくらいリアクションの大きい人なのか。

……そこまで考えて、気づく。俺、彼女の事を、なにも知らない。



『あっはは、まぁね。元気にしてるよ。それがどうかした？』



いつも通りを装って、彼の問いに対して返答する。実際、あれだけオーバーリアクションが出来るのだ。少なくとも元気がないことはないだろう。



『いや、もうすぐ夏祭りがあるし、奥さんと行ったりすんのかなって』

『あぁ、そっか。もうそんな時期か。それも良いかもね』



咄嗟にそう返して、絶対行ったりしないんだろうけど、と心の中で付け足す。彼女と結婚して1ヶ月と半分が過ぎようとしているのに、未だに夫婦っぽいことは殆どしていない。しているとするならば、一緒にご飯を食べているという点くらいだろうか。
あまり顔は合わせたくないだろう、と思って朝は俺が早めに家を出るからか、大抵その日初の会話はオフィスだし、お風呂を一緒に入るなんてもっての他。ただでさえ気まずいのに、出来るわけがない。


……そんな、夫婦らしいことを一切していない生活だったから。



『……え？』



思わず、送られてきたラインを二度見する。そこには確かに、「この前伊沢さんが言っていた夏祭り、良かったら一緒に行きませんか」という、所謂デートのお誘いの文が送られてきていた。デートと言って良いのかは些か疑問だが。

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