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『はい。一応。今はとある会社でプロデューサーをさせて頂いてます』
お互いに少しの間情報交換をして、彼女と漸く目が合うようになってきた頃、待ってましたと言わんばかりにうちの母と、さっきまで居なかった筈の父、そして彼女の両親が部屋に入ってきた。お互いにお節介な親を持ってしまったようだ。
隣で盛り上がっているのを横目に、庭を疲れた表情で眺める星宮さんの横顔を見つめる。絶世の美女、というわけではない。けれど、別に整っていないというわけでもない。
『っ……えと、あはは』
庭を眺めることにも飽きが訪れたのか、何気なくこちらに視線を寄越したのだろう。俺とパチッと目が合うと、彼女は先程の同じように気まずそうに視線をさ迷わせ、ぎこちない笑みを浮かべた。
あぁ、あの写真と同じ表情だ。
その時、少しだけ残念だ、なんて思ってしまった。同時に、これがもっと自然な笑顔だったら、もっと可愛らしかったんだろうな、なんて。けど、そんな風に思うくらい、笑顔は誰よりも綺麗な人だと思った。
『……星宮、さんは、』
僕のこと、嫌いなんですか。
そんなことを紡ごうとして、慌ててなんでもないですと笑顔で誤魔化す。初対面でそんな質問されて、素直に嫌いですなんて言う人は滅多に居ないだろう。
踏み込んだら駄目だ。一定の距離以内に入ったところで、俺は余計に嫌われてしまうだけだろう。話し掛けただけで気まずそうにする彼女には、余計。
流石に人に嫌われて喜ぶほど、ヤバイ人間ではない。嫌われたと分かれば普通にショックだし、悲しい。だからこそ、これ以上は嫌われたくない。そう思った。
―――彼女は、初対面でも物凄く分かりやすい人だった。だからこそ、ダイレクトに伝わってくる感情に、少しだけ胸が締め付けられた。
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―――第二印象は、変わってる人。
なにがどうしてそうなったのか分からないが、何故か強引な形で彼女と戸籍上の繋がりが出来、かと言って関わり方が分かるわけもなく、一定の距離を保っている今日この頃。
現在の職場は教えていない筈なのに、QuizKnockのオフィスに彼女が現れたときはもしかしてストーカー?なんて失礼な事を思ってしまったが、それも誤解だと分かったので、現在は取り敢えずお互いの為にオフィスでは関係を伏せている。
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すあま(プロフ) - 「……因みに、嫌なら本気で止めないと、ほんとに食べるよ?好物を目の前に差し出されて大人しく出来るほど、俺お利口じゃないんだから」ってセリフがやばすぎる、めちゃくちゃ想像に容易い、、ほんとに言いそうで凄いですね、、想像力が (2021年9月24日 0時) (レス) @page17 id: b33cbc8b26 (このIDを非表示/違反報告)
すあま - うわおおあ、、占いツクールでコメントするの初めてなんですが、コメント失礼します。。脳内のセリフ(?がオタクっぽくて(?)めっちゃ自分が言ってるみたいでやばいですねこれ最高ですね、(語彙力 (2021年9月23日 23時) (レス) @page3 id: b33cbc8b26 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 浴衣さん» コメントありがとうございます!ko-chanの「俺じゃ駄目?」と結婚式のお話は私の中でも結構気に入ってまして、そのように言っていただけて嬉しいです!こちらこそ暖かいコメントありがとうございました! (2020年6月19日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
浴衣 - 何回読んでも、こうちゃんの「俺じゃダメ?」というお話のところと結婚式のお話で涙腺が決壊します。素敵なお話をありがとうございます (2020年6月18日 9時) (レス) id: f3992de0f3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 。さん» 返信遅くなってしまってすみません!お褒め頂き、ありがとうございます!今順番に書きたいものを書いていっているので、そのうちまた新しいfkrさんのお話も書いていきたいと思います!コメントありがとうございました! (2020年6月11日 17時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
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