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風磨side





…ふいに、清香は視線を落とした。



なにか言いたげに、ティーカップの縁をなぞる。





そして、数分の沈黙の後、その重い口を開く。





清「………健人のことなんだけど」





………ざわり、と。



嫌な風が吹いた。










……その夜。




(人1)に電話をかけると、彼女は待ちきれないというように電話に出た。



そんな(人1)に思わず笑みがこぼれる。





あ『だって久しぶりじゃん!』


風「…3日前にも電話しただろ?」


あ『3日も前だよ!?』


風「3日しか前じゃねぇよ」





………なんて、言ってはみるものの、本当は悪いと思っている。



独りを怖がる(人1)を、ひとりにさせてしまっていること。




親父と外をまわっている時も、食事をしている時も、眠りに落ちる前だって。



寂しがってはいないだろうか、と思いを馳せる。




「いつ帰ってくる?」と寂しそうな声に、「分からない」としか答えられない自分がもどかしい。



本当なら、今すぐにでも飛んで帰って抱きしめてやりたいのに。




………そんなに寂しがるな、なんて。



遠く離れた地にいる俺に、言えるはずがない。





寂しさに敏感な(人1)に、「寂しがるな」なんて無理な話だ。




…だから俺が、そばにいてやらなきゃならないのに。







……そんな俺に痺れを切らしたのか、(人1)はさっさと電話を切ってしまった。




………あー…マジで早く帰りたい。



健人のこともあるし、早く日本に帰りたい。





(人1)の様子が少しおかしかった。



妙に心細そうだったように思う。



声に、いつもの元気がなかった。





………なにかが、あった。



(人1)になにかがあったんだ。




なんの確証もないけど、そう確信していた。



……一体、なにが……。






そこまで考えて、はっとする。






昼間の、清香の言葉が蘇る。





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北斗七星 - みるくてぃーさん» 大好きだなんて…!すごく嬉しいです♪( ´▽`)ありがとうございます♪もうすぐ移行しますので、これからもよろしくお願いします☆ (2015年10月8日 2時) (レス) id: 5808d874ca (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー(プロフ) - 風磨くん、めっちゃカッコいいです(●´ー`●) 北斗七星さんの書く文章、大好きです(*´ー`*) これからも頑張ってください!応援してます( ´ ▽ ` )ノ (2015年10月7日 7時) (レス) id: 93cfc168a2 (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星 - あんずさん» ありがとうございます♪切ない展開が多いお話ですが…これからも頑張るので、よろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ (2015年10月7日 5時) (レス) id: 5808d874ca (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星 - 玉森love♪さん» 応援ありがとうございます♪これからも頑張るので、よろしくお願いします(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年10月7日 5時) (レス) id: 5808d874ca (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星 - ききらら☆さん» 風磨くんside始まりました!丁寧に描けるよう頑張ります(o^^o) (2015年10月7日 5時) (レス) id: 5808d874ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年9月21日 0時

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