【続】愛の香り。Fuma.K -3-

＊105＊ ページ25

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健「…くっ……はははっ！

ねぇ、(人1)ちゃん。

俺、言ってないよね。

(人1)ちゃんに復讐してやりたいだなんて、言ってないだろ？



………気付かなかった？

そりゃそうだよな。

俺が追い詰めてたのは、あんただからな。

清香のことを考えても、俺の行動を見ても、あんたがそう考えるのは正しいよ。

あんたは真っ直ぐに考えていただけで、なにも悪くない。

自分が幸せになろうって、必死だっただけで、なにも悪いことなんてしてない。




その手首の傷は、そういうことだろ？

人生に絶望して、それでも今こうして必死に生きてて。

俺はそれを、悪いことだなんて思わない。



……なぁ、分かるだろ？

清香は、なんで傷付いた？

誰のせいで傷付いた？

誰が傷付けた？



………そんなの、答えはひとつだ。

俺が復讐してやりたいって、ずっと思ってたのは……。

(人1)ちゃん、あんたじゃないんだ。





…………俺が復讐してやりたいのは、風磨なんだよ」









………涙が出た。



なんでとか、どうしてとか、そんなの分からない。


分からないけど、涙が出る。





私が何も問わずとも、喋り続ける健人が。





健「…風磨に復讐してやろうって思ったけど、最初は戸惑った。

だってあいつ、弱点が見当たらねぇから。

だから、どうしたらいいかって考えた」





……悲しい目をして、自分を嘲笑うかのような笑みを浮かべて、話し続ける健人が。





健「……そしたら、ひとつだけあったんだ。

風磨がなによりも大切に想うもの。

誰よりも大切に想う人…」





………あまりにも、あまりにも。





健「…それが、あんただったってだけのこと」





…………可哀想なんだ。





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