愛の香り。Fuma.K -4- (ページ6)

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勝「…で、俺にはこれ？」

勝利の教室から少し離れた、階段の踊り場。

普段から、あまり生徒が通らない場所だった。

あ「可愛いでしょ？」

勝利の指先にぶら下がった赤色のそれは

いかつい間抜け顔？を私に向けていた。

勝「…シーサーのストラップね…」

勝利は苦笑しながら、それを制服のポケットにしまった。

勝「…楽しかった？」

あ「うん！楽しかった！！海がね、すっごく綺麗だったんだよ！」

キラキラと瞳を輝かせる私に向かって

勝利は少しだけ悲しそうな顔を見せる。

勝「…なんで、俺じゃなかったんだろうな」

ぽつりと呟かれた勝利の言葉に

私は口をつぐむしかなかった。

勝「…俺が、お前の婚約者だったら良かったのに」

私は何も言えなくて、下を向いて床を見つめる。

ごめんね、勝利…。

私は、梓をもう二度と裏切れない。

それ以前に、風磨を好きになってしまった。

やっぱり勝利は、“大切な幼なじみ”としか見れないよ…。

勝「…なんで、お前が“桐生”の長女なんだろうな」

勝利はそれだけ言うと

「授業始まるから、またな」と、自分の教室に戻っていった。

胸に刺さる痛みを抱えながら

私も自分の教室へ戻るべく足を動かした。

…気付かなかったの。

まさか勝利との会話を、聞いていた人がいただなんて。

そして、それが…あんなことを引き起こすだなんて。

…気付かなかったの。

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