愛の香り。Fuma.K -4- (ページ40)

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「泊まるところがなければ、うちにいらっしゃい」

驚いておばあさんを見ると、変わらず優しく微笑んでいる。

あ「…え？」

「…ふふ。はい、こちらですよー」

私の返事も聞かず、おばあさんは砂浜を歩いて行ってしまう。

…ちょっと…っ

見知らぬ人をいとも簡単に泊めるなんて不用心過ぎない？

とは思うものの、泊まるとこがないのは事実だし

この島が持つ雰囲気のせいか

こんな人がいてもおかしくないんじゃないかという錯覚を起こさせる。

少し考えた挙句、私は結局付いて行くことにした。

こんなに穏やかな人なのに、人に有無を言わせないとこがある。

今、私はおばあさんの家で夕飯をご馳走になり

お風呂もお借りして…就寝前のお茶を2人で飲んでいるところ。

「…ふふ。なんだか楽しいわねぇ」

おばあさんは湯呑を掌で包みながら、嬉しそうにしている。

「私の息子夫婦も、今は関東で仕事していてね。その2人は忙しいみたいで、なかなか会えないんだけど…孫娘がよく遊びにきてくれるのよ」

おばあさんの声が心地よくて

私は適度に相槌を打ちながら、その声に浸った。

「…何かツラいことがあるなら、人に話すと案外楽になるものよ？私に話せないかしら？」

そう言って、優しさと憂いを込めた瞳を向けてきた。

なんだか、それだけで泣きたい衝動に駆られる。

全てを吐き出してしまいたくなる。

………でも…

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