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*156* ページ36







___…ジャリ…



足音がして、はっとそちらに目を向ける。



顔はよく見えないけど、誰かがそこに立ってる。


こんな、ひと気のない夜の公園なんて…危ないとしかいいようがない。



私は急いで立ち上がり、その場から駆け出そうとした。



「…なにしてるのかな?」



…その声に、心臓がドキンと音を立てる。



振り返ると、さっきは見えなかった顔が


街灯の光でハッキリと見えた。





…なんだ。


全然違った…。



あ「…別に、なにもしてないです。今からちゃんと帰りますから」



一瞬、風磨かと思った。


声がそっくりだったから。





「…そう」



柔らかく微笑むその人は、どこか気品の良さを漂わせている。


40代後半ぐらいの、男の人…。


じっとその人の顔を見た後、私は歩き出した。



行くあてなんてないけど


それでも、これ以上ここにいたら


本当に危ない人に会ってしまうかもしれない。



そんな私の後ろ姿に、その人はまた声をかけた。



「…この先に、私が経営するホテルがある。そこに泊まるといい」



その言葉に、ぴたりと足を止めた。





…今、この人なんて言った…?



振り返ると、その人はただ穏やかに微笑んでいる。



不審な顔をする私に、その人は手帳になにかメモして


それをちぎって私に渡す。



ふわりと、大人な香水が香る。





「このメモをフロントで提示すればいいから」





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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月24日 1時

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