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___…ジャリ…
足音がして、はっとそちらに目を向ける。
顔はよく見えないけど、誰かがそこに立ってる。
こんな、ひと気のない夜の公園なんて…危ないとしかいいようがない。
私は急いで立ち上がり、その場から駆け出そうとした。
「…なにしてるのかな?」
…その声に、心臓がドキンと音を立てる。
振り返ると、さっきは見えなかった顔が
街灯の光でハッキリと見えた。
…なんだ。
全然違った…。
あ「…別に、なにもしてないです。今からちゃんと帰りますから」
一瞬、風磨かと思った。
声がそっくりだったから。
「…そう」
柔らかく微笑むその人は、どこか気品の良さを漂わせている。
40代後半ぐらいの、男の人…。
じっとその人の顔を見た後、私は歩き出した。
行くあてなんてないけど
それでも、これ以上ここにいたら
本当に危ない人に会ってしまうかもしれない。
そんな私の後ろ姿に、その人はまた声をかけた。
「…この先に、私が経営するホテルがある。そこに泊まるといい」
その言葉に、ぴたりと足を止めた。
…今、この人なんて言った…?
振り返ると、その人はただ穏やかに微笑んでいる。
不審な顔をする私に、その人は手帳になにかメモして
それをちぎって私に渡す。
ふわりと、大人な香水が香る。
「このメモをフロントで提示すればいいから」
*
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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月24日 1時