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でもどうせ、戻ったってツラいだけ。


私は清香さんにはなれないから。



それに、風磨が婚約を白紙に戻したわけじゃないから


これは契約違反にならないはずだ。



___…戻らない。



そう言ってやりたいのに、やっぱり心のどこかで


風磨のところに帰りたいと言う私がいる。



その私が、言葉を邪魔する。





___…その時だった。



勝利が、私の手から携帯を奪い去ったのは。





勝「…帰らせねぇよ」



驚くほどの低い声を出して、勝利は話し続ける。



勝「前に言っただろ。『今日(人1)が帰るのはあんたの家だから渡すけど、それ以外だったら絶対渡さない』って。もう…(人1)が帰るのはお前んとこじゃねぇよ」



そう言って、電話を切った。



呆然とする私にそれを差し出し


「電源切るか、着信拒否にしとけ」とだけ言った。



携帯を受け取りながら、神経は横に座る梓に集中する。



…どうしよう。


彼女は絶対…今の勝利の言葉に傷付いてる。





…恋は、上手くいかないもの。



自分の好きな人が


自分を好きだってことなんて


そうそうあるものじゃない。



きっと、ほとんどの人が一方通行の想いをその胸に秘めている。





……ダメだ。



私、やっぱり“邪魔”なんだ。


風磨と清香さんとにとって邪魔なだけじゃなかったんだ。



私の居場所なんてどこにもない。


誰も私を必要としない。





あ「…トイレ、行ってくる」



それだけ言って、梓の部屋を出た。



その手には、ちゃんと携帯を持って。





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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月24日 1時

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