愛の香り。Fuma.K -4- (ページ32)

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まだ心のどこかで、

「考え直せ」って連絡をくれるって

ありえない期待をしてるんだ。

…自分で決めて手放したくせに、往生際悪いよね。

左薬指に手をやり、鎖があった場所をなぞる。

ついさっきまで、ここには風磨との繋がりがあったのに。

また涙が出そうになって、強く目を閉じた。

梓「…よし。勝利呼んで、騒ごう！」

そんな私を見て、梓は勝利に電話をかけ始めた。

…ほら。

風磨がいなくたって大丈夫。

全然平気。

そう自分に言い聞かせて、電源ボタンを押す。

大丈夫。

たとえ連絡が来なくても、絶対に大丈夫。

…しばらくすると、呼び出された勝利が部屋に入ってきた。

私がここにいることに驚きはしたけど

何も説明しなくても悟ってくれたらしい。

そのまま3人でおしゃべりしてたんだ。

小さい頃、3人で遠くまで行こうってなって迷子になったことだとか。

その時保護してくれた警官がやたら強面の人で

号泣した私と梓を、勝利が必死に慰めてくれたことだとか。

悲しかったことも楽しかったことも、今ではいい思い出。

笑って話せる、思い出。

…だから、いつか風磨のことも思い出に出来る。

この想いも、全部…。

いつかの未来に、きっと

「そんなこともあったね」って

「あの時はいっぱい泣いたのよ」って

笑って話せる時が来る。

…だから、私は大丈夫。

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