愛の香り。Fuma.K -4- (ページ23)

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あ「…ぅま…っ。風磨…風磨…っ！」

初めて口にした彼の名前が

こんなにも私を苦しめるものだとは思わなかった。

こんなにも悲しいとは思わなかった。

…初めて、私の笑顔の仮面に気付いてくれた。

初めて、あの悪夢を温かなものに変えてくれた。

初めて、私に綺麗な蒼の世界を見せてくれた。

初めて、初めて…。

たくさんの“初めて”をくれた。

初めて…私の手首に残る醜い傷を受け止めてくれた。

私にとっては本当に大切なことだった。

本当に幸せなことだった。

…でも、彼にとっては、“大切な人を守るため”でしかなかったんだ。

…私は、いったいどれだけ自分を嫌いになればいいの？

どれだけこんな想いをすれば終わりが来る？

＿＿＿a miracle to meet you＿＿＿

＿＿＿君に出会った奇跡＿＿＿

その文字が刻まれた指輪を、清香さんは今でも大事そうに左薬指にはめていた。

その文字が刻まれた指輪を、風磨は今でも大事そうに首に下げている。

…私と風磨の左薬指にはまる指輪は

今でも“義務”という名の“鎖”でしかない。

…分かってる。

もう、この“鎖”の役目も終わるんだ。

ちゃんと聞いたわけじゃないけど

きっと風磨と菊池会長の契約が破られたんだ。

つまりそれは、私と風磨の婚約破棄を意味する。

そしてきっと、明日からはまた…

風磨と清香さんの“気持ちの結晶”が左薬指に光るんだ。

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