愛の香り。Fuma.K -4- (ページ22)

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＿＿＿どうして、気付かなかったんだろう。

少し考えれば分かることなのに。

小さなそれを手に取り、じっと見つめた。

玄関の明かりは頼りなかったけど

それを確認するには十分だった。

＿＿＿a miracle to meet you＿＿＿

その、刻まれた文字を確認するには、十分だったの。

…どうして、こんな想いをしなければならないんだろう。

…どうして、私は誰かに必要としてもらえないんだろう。

私の願いは、そんなに難しいものですか？

固く目をつぶり、差し出す手が震えないように神経を研ぎ澄ませる。

彼女は綺麗な細い指でそれを受け取ると

ほっと息をついた。

風「…まだ、持ってたのか」

清「………捨てられるわけないじゃない」

そんな言葉を背にしながら、私はドアを閉める。

リビングへ進みながら、思わず笑いがこぼれた。

自分が惨めで、バカみたいで、笑えてくる。

あ「…あははっ！なんか何もかも出来すぎてるんですけど！」

リビングに入り、すぐ横にある自分の部屋に入った。

電気も点けてないその部屋を、ただ見つめた。

あ「……バカみたいだなぁ、ほんとに！」

口からは、乾いた笑い声が漏れる。

あ「…バカみたい…っ！」

片手を目に当てると、隙間から滴がこぼれていく。

…覚悟してた。

…分かってた。

何度も自分に言い聞かせてた。

ずっと前から自分は“要らない”って分かってた。

だから、傷付くはずもない。

だって本当に、覚悟だってしてたんだから。

あ「………っ！」

なのに、どうしてこんなに苦しいの？

どうしてこんなに悲しいの？

どうしてこんなに…

風磨を好きになってしまったんだろう。

＊