愛の香り。Fuma.K -4- (ページ20)

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風磨の携帯が鳴る度に

過剰に反応してしまう自分が嫌だった。

でも、それは全部何の変哲もない電話だったから

ほっと胸をなでおろしていた。

早めの夕食を終え、リビングで2人ぼんやりとテレビを見ている時だった。

＿＿＿プルルルルッ

風磨は、ゆっくりと電話を取った。

風「…親父」

いくつかの相槌を打つ風磨を

ただ、ぼんやりと見つめていた。

…もう、私に聞かせないようにとリビングを出ることさえしなくなった風磨。

それがどういうことなのか、本当は分かってたんだ。

…そして、その時はやってきた。

終わりを告げる、その音を

私は今でも忘れられない。

＿＿＿ピーンポーン

“義務”で人の感情は動かせないんだ。

風磨は電話中にも関わらず、玄関へと目を向けた。

私は、そんな風磨の代わりに腰を上げる。

………誰が訪ねて来たか？

そんなもの分かりきってる。

だって、風磨のマンションはオートロックだから。

エントランスで、まず部屋に呼び出しをかけなければならない。

でも、今の音は…エントランスからの呼び出しではなく

部屋のチャイムだった…。

つまり、鍵を持った人の訪問。

…私が知ってる限り、この部屋の鍵を持ってるのは

風磨と私だけのはずだ。

でも、もしも…あの時の嫌な予感が当たってたとしたら？

その“もしかして”だったとしたら…？

＿＿＿この部屋の鍵を持つ人間は、もう１人いるんだ。

＊