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その言葉に従い、風磨の隣に腰かけた。
風磨は、そんな私にオレンジジュースが入ったコップを持たせる。
私が一口飲んだのを確認すると
自分もコップに口を付けた。
その動作のひとつひとつが綺麗で
私は、ただ風磨の横顔を見つめる。
ふいに風磨がこちらを向き、視線が絡まると…
…どきんっ…
大きな波が体中を駆け巡っていく。
風「…お前は、特別」
微笑んでそう言った風磨に
顔が真っ赤に染まるのが分かった。
ドキドキドキ…と脈を打つ度に
手に持っているコップの中のオレンジ色が揺れる。
視線が絡まったまま、時が止まった気がした。
___好きなんでしょ?___
梓の言葉が、私の脳内に蘇る。
…認めたくなかった。
認めてしまえば、きっと私は
その想いから逃げられなくなることを分かってたから。
その想いに縋って縋って
それがなければ生きていけないぐらい依存して
ただ、ひたすら そばにいたくて
そばにいてほしくて
…風磨がいなければ、生きていけないぐらいに。
あ「…も…ダメだよ」
風「なにが?」
…もうダメだよ。
誤魔化せないよ。
私のちいさな呟きにだって
優しく返してくれる、この人のことが
もう誤魔化しきれないほどに好きなの。
私の理想とは正反対で
冷たくて意地悪で俺様で。
でも、温かくて甘くて優しくて…
そんな“私の婚約者”が
…好きなの。
*
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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月15日 1時