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朝食を食べた後、港へと向かった。
そこでフェリーに乗り換え、今は海の上。
自家用ジェット機を持つぐらいだから
わざわざ定期便のフェリーに乗る必要もないと思うけど
風磨に言わせれば
「ここまで来て金持ち主張する必要もねぇ」
…だそうだ。
やっぱり、風磨ってよく分からない。
それに、やっぱり財閥子息っぽくない。
まぁ、私が言えたことじゃないけど(笑)
…ちょっとだけ、私と風磨って似てるとこがあるのかもしれない。
そんなことぐらいで嬉しくなっちゃう私って、どうなのかな?
フェリーの先頭にあるデッキでボーっと海を眺めてると
潮の香りが鼻をくすぐる。
時折飛んでくる水しぶきが気持ちよくて、目を閉じた時だった。
___…バシャッ
大きな音がして、何事かと思った。
…途端に海水を頭からかぶった。
風「…ぶはっ!!」
呆然とする私の後ろで、思い切り吹き出す風磨。
…そっか。
船体が大きな波にぶつかると、デッキにまで海水が飛んでくるわけか…。
飛んでくるのは細かな水しぶきだけだと思って油断してたよ。
びっしょり濡れて肌に張り付く長袖のシャツを指でつまみながら
頭の中は妙に冷静な判断をしていた。
…目の前の風磨は、海水をかぶった私がよほど面白かったのか
お腹を抱えてまだ笑っている。
そんな風磨をじーっと睨みつけてると
ふと視線が絡まって、また笑い出す。
風「…くくっ!お前、マジで頼むからこっち見んな!笑い止まんねぇから!」
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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月15日 1時