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それから、何を考えて道を歩いたのか


あまりよく覚えていない。



山本家の玄関に現れた私を見て


クミおばさんたちが何を言ってたのかも


私がどういう態度で接したのかも…全く。



とにかく、心が千切れそうだった。


千切れて、粉々になって、消えてしまいそうだった。



…もしかしたら、そっちの方が楽なのかもしれないけど。







次の日の朝。



私は、学校に行く気がしないでいた。



いつものようにクミおばさんとおじさんを見送ったけど


梓とは話をしないままで


一緒に登校することもなかった。



勝利も、いつもなら玄関先で待っててくれたけど


今日はその姿もない。





…私のせいで、全部が壊れていく。



私は“要らない”だけじゃなく“邪魔”な存在なのだと、そう思った。



…多分、このままじゃ卒業式も出ないだろう。



その前に、はるちゃんに謝らなければ。



そう思った私は、1人残った家で携帯を手に取った。



震える手ではるちゃんの番号に電話をかける。





出てくれるなんて、思わない。


それでも、留守番サービスにさえ繋がれば…言葉を残せる。



「ごめんね」って。





でも、驚くことにはるちゃん本人が出た。



あ「…はるちゃん!?」



もしかしたら、許してくれるの?


そんな期待を抱いた。



そうしたら、また頑張れる。



梓のことも、勝利のことも、桐生のことも。



一緒に崩れてしまったものが1つでも直せれば


他のものも直せるような気がしてた。



あ「ごめんね、はるちゃん。私、気付かなくて本当にごめんね…っ!」



涙を流して謝る私の声を、聞き入れてくれてるのだと


勝手にそう思ってた。





…ほんとに、笑ってしまうぐらい必死だった。





謝り続ける私の言葉を遮って


はるちゃんは冷たく言った。



は「…あんたさぁ、昨日1つ年下の幼なじみに告られたんだって?」



その言葉に、私は何も考えられなくなった。



どうして知ってるの?


誰かが偶然、見かけたのだろうか?


その誰かが、はるちゃんに言ったの?



は「…いい気になってんなよ。男にばっかり色目使ってさぁ、マジで最悪。………死ねば?」



それだけを残して、プツリと電話は切れた。





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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月15日 1時

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