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___…すべてが繋がった。



月に数回、この桐生の敷居をまたぐ時は


必ず連絡を入れるように義務付けられていたことも。



そして、それが“要らない”私と“要る”弟を


引き合わせないようにするためだったことも。



私がここに出入りする時


必要以上に警戒態勢がとられていた理由も。



山本家に預けられた、本当の理由…



何かが音を立てて壊れた。



私の居場所なんて、最初からどこにもなかった。



学校にも、友達の中にも、山本家にも桐生にも


…どこにも。







聡「…姉さんがいるよ!」



その声に、はっとした。



目の前にいた弟は、いつの間にか扉の向こう側へ。



両親は、驚きの目で私を見た。



あ「…お久しぶりです」



引きつり笑いを浮かべた私に


父の言葉がぐさりと刺さった。



「…ここに来るときは、連絡を入れろと言わなかったか?」


あ「…すみません、でも私…っ」





最後の望みだった。



もしかしたら、理由を話せば“ここ”に戻って来れるかもしれないと。


「必要」だと思ってもらえるかもしれない。



でも、それを言い切る前に…


私の願いは遮断された。





「早く山本の家へ帰りなさい」





父と母は、冷たい目で私を見ていた。



両親の間に挟まれた弟は、きょとんとしてたけど


その両肩には2人の手が置かれている。





あ「…帰ります」



それだけ言って、桐生を出た。



門を出る時、黒い車とすれ違って


中にいた男性と目が合った気がしたけど


気にもせず桐生を後にした。





…どうしよう。


どこに行こう…?



帰る場所も、居場所も、なにもかもなくしてしまった。



…違う。


最初から、私にはそんなものなかった。





その時、カバンの中から微かな振動が伝わってきた。



「…はい」





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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月15日 1時

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