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「…姉さん?」



振り返ると、まだ幼さを残す男の子が立っていた。



私をキラキラした目で見つめる


その、幼い男の子が…怖かった。



「…っ初めまして!桐生聡です。もうすぐ中学生になります!」



目の前でぺこりとお辞儀する姿は


小さいながらも、父にそっくりだった。





…一瞬で、理解した。



この子は…この、3つ年下の男の子は


私が山本家に預けられた後すぐに産まれた、実の弟なのだと。



そして、私は“邪魔者”だったのだと。



…私は、どこかで勘違いをしてたようだ。



ずっと、私は桐生にとって必要な存在なのだと。



危険だからと言って預けられた山本家で


自分がそこにいることに疑問を抱いていたけど


それは“必要な存在”を守るためなのだと、自分に言い聞かせてきた。



そして、その必要とされる時が、婚約の時なのだと。



その時、私は初めて…


必要とされる存在だということを


噛みしめるんだろうと…思っていた。



…私がいて


私がどこかの御曹司と婚約し結婚することで


桐生が優位な立場に立てる。



桐生がさらに名をあげるために


“私”は必要なのだと。



それだけが“山本家”にいる私を支えていた。


それだけが「私は捨てられたのかもしれない」という考えを捨てさせてくれた。





でも、たった今…目の前で繰り広げられた真実は


そんな私の期待を粉々に打ち砕いた。



私は、要らなかった。



桐生の名をあげるための


“桐生の道具”としても“要らない”のだと、そう言った。



私は、“要らない”子。



だから、この弟が生まれる前に山本家に預けられた。





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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月15日 1時

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