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沈黙が流れた。



私は俯いたまま涙を堪えるのに必死で


風磨はただ私の右腕を掴んだまま微動だにしなかった。



このまま、何も言わずに去ってくれればいい。



風磨が部屋に戻ったら、思い切り泣こう。



「もう少し」と願ったにも関わらず


こんなにも早く訪れてしまった“終わり”を涙で流してしまおう。



そしてそのまま、風磨が起きないうちにここを出て


空港に行って…桐生の家に行こう。



…私から、婚約破棄の話をしなければ。





ぐっと全てを飲み込んで


顔に笑顔を貼り付けて風磨を見た。



どんな時でも笑顔の仮面をかぶることが出来る私は


やはり、あの時なにかが壊れてしまったのかもしれない。





あ「…ごめんね。もう寝室戻って寝ていいよ?片付けは私がするから」



床に散らばった、ガラスの破片。


溶けてカップからこぼれたアイス。



それでも、ぐちゃぐちゃになってしまった私の心よりはマシだった。



幸せになりたいと、もがけばもがくほどに


暗い絶望へと沈んでしまう気がした。





風「…これ、いつだ?」



ずっと黙ったままだった風磨が、口を開いた。



風「切ったの、いつ?」



風磨の視線と絡まって、心がとくんと波をたてる。



あ「…3年前」


風「…あぁ、だからか」



………え?


なに言ってるの?



風磨は悲しげに微笑んでいて、何も読み取れない。



風「…お前さ、最初に俺の年齢聞いただろ?」


あ「…うん」


風「その時、17歳で高2だって言ったよな」


あ「…ん」


風「さらに、大学2年だって言った俺に、『2つ違い』だって言ったよな」


あ「………」


風「おかしくね?誕生日3月なのに、17で高2とか違うだろ。俺と2つ違いなら、普通高3だろ?」





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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月15日 1時

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