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風「見ねぇからな」
探るような眼差しを向けてくる風磨から
思わず視線をそらしてしまう。
あ「…私、見たいんだけど」
小さくそう言った途端、ギロリと睨まれた。
風「…なんで?」
あ「いや…『なんで』って言われても…」
風「ねぇから」
風磨はぴしゃりとそれだけ告げると
「もう寝る」と、寝室に入っていった。
ほっと息を吐くと同時に、寂しさが私を襲う。
…もう少し、一緒にいたかったんだけどな。
時間は、まだ22:00をまわったところ。
…夜は長い。
暇つぶしのDVDもなくて
どうしようかと考えを巡らせてみるものの
結局、いい方法なんて浮かんでこない。
とりあえず、テレビをつける。
ただ音声を聞いて、映像を見て…
でも、頭の中は風磨のことでいっぱいだった。
慣れない場所だと眠れないってこと
風磨に言うべきだったかな。
いや、でも…
そうしたら、きっと話さなければならない。
あの夢のことも、その原因となる過去も
傷も不安も、全部…
ふるふると頭を振って、テレビに集中した。
夜は更けていく…
眠れない私を、1人残して。
風「…うわー…なんか、すっげぇ見覚えある光景なんだけど」
朝、寝室から出て来た風磨が
開口一番にそう言った。
あ「あ、おはよー」
風「…また寝てねぇの?」
あ「…寝ちゃうの、もったいなくて」
笑顔を作ってそう言うと
風磨は何も言わずに、私の頭を優しく撫でた。
きゅんと、私の胸が音をたてる。
私、やっぱりこの人が好きだ。
*
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作者名:北斗七星 | 作成日時:2015年7月15日 1時