冨岡義勇 ページ4
「あーあ、振られちゃった。」
Aはそう言って俺の隣に腰掛けた。しかしその表情はどこか悲しみを帯びていて、それをひた隠すように笑顔を貼り付けていた。
ずっと好きだった、という奴にAは想いを伝えた。しかし返ってきたのは彼女を悲しませる応え。
「でも言えただけですっきりしたや。相談、乗ってくれてありがとう。」
「ああ。」
相談に乗る、というよりはただAの話を聞いているだけだった。
俺は元々口下手だからろくなアドバイスもできない。それに。
___好いているやつの恋のアドバイスなんて、したくない。
「うーん、やっぱり私って魅力がないのかなぁ。」
ぽつりと、Aが呟いた。
俺は反射的に顔を上げた。何を言っているんだ。お前はどこを取っても魅力と優しさに溢れているじゃないか。
あの男が気づかなかっただけじゃないか。
「……そんなわけ、ないだろう。」
「ふふっ、義勇は優しいねぇ。」
優しくなんかない。
俺はお前の恋路を応援していなかった。応援しているふりをしていただけの嘘つきだ。
だから優しさなんて、これっぽっちもない。
「義勇は良い旦那さんになるよ。」
その言葉に、俺の中の何かがぷつんと切れた。
気づけばAのことを強く強く抱き締め、その首筋に顔を埋めていた。
「ぎ、ぎゆ」
「……そんなこと、わからないだろう。」
「…え?」
「俺が良い旦那になるなんて、わからないだろう。」
動揺を含んだ面持ちのAは目を丸くして固まっていた。
「だから、お前が確かめてくれ。」
優しいAの香りが鼻腔を掠める。俺は炭治郎のように鼻が効くわけではないけれどこれが「優しい匂い」だというのは理解できた。
Aは驚きのあまり微動たりともせず、ただ俺の顔を見つめるだけだった。
「……私を慰める為の冗談?」
「違う。」
「……そう…。」
Aは優しいから、俺のことを突き放せない。それがわかっていて、その優しさに漬け込んで利用した。
大丈夫、大丈夫だ。俺が必ず幸せにするから。
だからあんな男のことなんて忘れるくらい愛を囁き、お前を俺に堕とそう。
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蒲公英 - リクエストで、村田さんもしくは後藤さんお願いします。 (2020年8月16日 13時) (レス) id: abd0311f3a (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - お館様もいれてほしいです! (2020年7月21日 21時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - すみません、悲鳴嶼さんリクエストしてもいいですか? (2020年7月21日 18時) (レス) id: e20c0b3e5a (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 一回じゃお星様押したりないです、、、きゅんきゅんしまくりです (2020年7月15日 11時) (レス) id: 40031fd2e4 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - マリイさん» 大変申し訳ございません。記載してある通りあくまで人物リクエストのみを受け付けているので細かな設定等のリクエストは承れないんです…私自身の力量不足故に設定に沿ったものを書けるとは限らないので…。本当にすみません! (2020年7月15日 10時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月13日 19時