9 ページ9
怪我をした。完治まで2ヵ月かかるという。
その間、ファームでリハビリだ。
なんで俺が。
頑張ろうとした矢先だったのに。
しかも脚。
走れなくなったらどうしよう？
Aちゃんが、俺のこと真っ先に褒めてくれた自慢の脚が、もし、この先使い物にならなくなったら…
怪我してからずっと不安になって、夜眠れなくて。
Aちゃんも心配してくれて何通もメールしてくれてたのに、俺は1通も返せなかった。
俺が活躍すると誓ってた対広島戦では、またしても翔さんがホームランを放った。
頭の中で翔さんを讃えて君が笑う。
テレビの前で、試合を見てるだけの俺は、なんて情けないんだ、と。
『Aの好きなタイプは俺より野球の上手い奴』
ぐるぐる。ぐるぐる。
翔さんの言葉が頭を回る。
俺、いつになったら自身持ってAちゃんに｢好きです｣って言えるかな……
翔さんという高すぎる壁を前に、俺はそれを立ちつくして見てる事しか出来ない。
｢ほんま、なっさけな……｣
テレビを消して、ベッドの中へ潜り込んだ。
俺が一軍に戻ってきたのは、二ヶ月以上経って、もう８月も終わりに近づいてきた頃だった。
二軍にいる間、Aちゃんとは何も連絡を取らなかった。一軍に戻ってから、心配かけてごめんって謝ろうと思って。
だけど、なんとなく緊張して、文章作れなくて。
試合開始時間は迫っているし。試合終わってからにしよう、なんて決めて、試合に望む。
だけど久々の一軍のグラウンドに萎縮したか、満足のいく成績とはならなかった。
試合が終わって、ロッカールームに戻って携帯を開くと、メールが来ていた。
｢From:Aちゃん
subject:試合見ました
遥輝さん、一軍戻ったんですね。
長い治療とリハビリ、お疲れ様でした。
今日の試合も、お疲れ様でした。
もうすっかり大丈夫そうですね！
お立ち台、いつまでも待ってますから。｣
俺はずっとAちゃんのメール無視してたのに、ずっと心配してくれて。
しかもお立ち台を待ってる、なんて。
あー俺、やっぱAちゃんのこと好きだな、って思った。
ラッキー食べ物
すし
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 308人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫椏(プロフ) - せーらさん» お読みいただきありがとうございました！面白かったと言ってもらえて本当に嬉しいです。データが飛んでも書き続けてよかった…！ (2017年2月20日 21時) (
レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
せーら(プロフ) - 完結おめでとうございます！！すっごく面白かったです！！！ (2017年2月20日 9時) (レス) id: 8c3fdebe22 (このIDを非表示/違反報告)
紫椏(プロフ) - えりさん» コメありがとうございます！有原くんがこんなにかっこよくなるとは作者も思いませんでした(笑) (2017年2月16日 16時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
えり - 主役遥輝なんだけど有原さんかっこいいです(*^^*)初コメ失礼しました。 (2017年2月16日 16時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫椏 | 作成日時：2016年11月27日 10時
