3年目の決意

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2敗でホームに戻ってきても、ファンはみんなあったかかった。
冬も間近の北海道はものすごく寒いはずなのに、ファンが見守るグラウンドは熱気に満ちていて。
こんなあったかい場所が俺らのホームなんだって、そう思えた瞬間から…何故だろう。負ける気が一切しなかったんだ。


1戦目。
先制するものの、エルドレッドに2ランを浴びる。
2-1のまま迎えた8回、2アウト2塁で翔平が敬遠され、2アウト1,2塁で打者、大将。
CSのデジャヴかと思った、だってタイムリー打っちゃうんだから。2点タイムリーの2ベースヒットで逆転に成功した。

しかし9回に同点打を打たれ試合はふりだしに。

延長10回1アウトで、今度は俺が四球で出塁。
ダイさんが三振に倒れ、打者は大谷。
下手に1塁を空ければまた塁を埋められてしまうと思った俺はギリギリまで走らなかった。
ダイさんの打席と翔平の打席、何度もスタートのタイミングは測った、行ける。
カウント1-1、俺は走った。スライディング少し失敗したけど、セーフ。さぁ、1-2だ、勝負するだろ？
全力で走る、内野を抜ければ俺は帰れる。

次の球だった。インコース低め、ボール球。
それを綺麗に捉えて、打球は1,2塁間を破る。
2塁から全速力でホームを目指す。

サヨナラだ！


勢いそのままに札幌ドーム2戦目も白星。

これで並んだ。


迎えたホーム最終戦。
ここまでほぼイイトコなしの俺。なんだよ16-2って。2戦目から1本もヒット打ってない。
相手投手との相性もあり、今日は1番打者からも外れた。
そして案の定、9回までまるで見せ場なし。

だけど唐突にチャンスはやってくるもので。

1アウトから賢介さんが四球を選び、市川さんが犠打でチャンスを広げる。卓さんが内野安打で1,3塁。続く岡がなんと死球。

乱闘になりかけるもなんとかおさまり…気がつけば

2アウト満塁で、俺。

広島側はチャンスだと思うだろうな。
だって俺の打率酷いもん(20-2でピッタリ1割)

だけど、その時。
｢遥輝さん！｣
って、Aちゃんの声が聞こえた気がした。

2アウト満塁、決めれば逆転サヨナラなんてかっこいい場面…逃すわけにはいかないわな。

放たれた2球目。
俺は思いっきりバットを振り抜いた。

打球はライトへ、伸びて、伸びて、スタンドに、入った。

サヨナラの満塁ホームラン。


ダイヤモンドを回って、チームメイトの元へ。めっちゃ水かけられたけど、こんなに幸せなこと滅多にない。最高だ！


｢僕の試合で打って下さいよ！｣
｢翔平ごめんって！笑｣

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