3年目の決意

40 ページ42

9月28日、運命の時はやってくる。

1点リードの9回、ここを守りきれば優勝だ。
ピッチャーは好調の翔平、今日は特に気合が入ってるのかマジで好調。全然ボールが飛んでこない。


先頭打者、セカンドゴロ。
次の打者は四球で1アウト1塁
打順は一番に返り秋山さん。しかし、ファウルフライをレアードが捕って2アウト。


あとひとつ。


1球目、低めスライダー見送ってストライク。

2球目、同じく低めのスライダーだったがバットに当たった。打球は内野を超え、外野へ、俺のいるレフトへ伸びてくる。

本来守っていた位置からは少し離れた場所に飛んだが、問題ない。守備範囲内だ。

走って走って、追いつく。
落ちてきた打球は、俺のグラブにすっぽりとおさまった。

観客の声が大きくなる。
マウンドで翔平と奨太さんが抱き合っている。
ベンチからみんなが出てきている。
俺も気付けば両手をあげてバンザイしていて。


あぁ、優勝したんだって。




監督を胴上げし終わって、バスに乗りこみビール掛けの会場に向かう。その車中でスマホを確認した。


｢うわ、やばい。めっちゃ連絡きてる(笑)｣


LINEの通知も、メールの受信も大量だ。
このなかにAちゃんからのメールもあるだろうか。

と、期待したのだが。まだメールは来ていなかった。ちょっと残念。もうこちらからメールしよう。


｢To:Aちゃん
subject:優勝したで

日本一になる。｣


最近恒例となった言霊メール。
たった一言のだけど、めちゃくちゃ思いの詰まったメールになる。


送った直後にメール受信。


｢From:Aちゃん
subject:優勝おめでとうございます

遥輝さんは有言実行の男ですからね。期待してます。
実は日本シリーズ見に行く予定立ててます。
札幌に観戦行きます。かっこいいとこ、見せてくださいね(´∀｀*)｣


まだCSどうなるかわからないのに日シリの観戦予定を立ててるということは、勝つと確信してくれている？

なんだか嬉しくて、ニヤケがおさまらない。


｢遥輝？どうしたと？にやけてる。｣

｢卓さん…絶対CS勝って日本シリーズ行きましょうね！｣

｢え、あぁ、うん。当たり前じゃん。｣


これからまたCS、ソフトバンクかロッテ。どちらにしても強敵なのは間違いない。

だけど、絶対勝つ。




Aちゃん、日本一になったら言いたいことがあるんだ。





｢告白のセリフも考えなきゃ…卓さんどうしよ｣
｢(遥輝、日本一になったあとのこと考えてる…これってなにげにすごいよな…)｣

41→←39

ラッキー食べ物

すし

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す