3年目の決意

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9月10日
カープがセ・リーグ優勝を決めた。

そして、俺達ファイターズも首位を奪還した。


どこから聞きつけたか宮西さんが｢日本一になったら遥輝が好きな女の子に告白するってよ｣なんて言い回っていたせいで、チームメイトから｢今日も勝とうな！遥輝の告白チャンス潰すわけにはいかねーし！｣なんて声をかけられるようになった。

ロッカールームでそうやって騒ぐぶんには構わないんだけど、円陣の時にそれ言われると観客やらマスコミに聞かれるんじゃないかってヒヤヒヤするからやめてほしい。

オフシーズンならまだしも、シーズン中に熱愛報道で騒がれるのはゴメンだから。



そのあとも順調に勝ちを重ねていった俺たちに待ち受けていたのはなんと、ソフトバンクとゲーム差無しでの直接対決。

ここで負ければ、優勝はない。

まさに天王山。天下分け目の関ヶ原、もといヤフオクドーム。
プレイヤーである俺達はもちろん、監督やコーチにも気合が入っている。

試合前、ロッカールーム。

｢やべー緊張するー｣

｢拳士さんベンチやん｣

｢緊張するもんはするの！遥輝もするでしょ！｣

｢緊張…するけど、なんやろ。
不思議と勝てる気がすんねんなー…｣

｢お前いつからそんな強心臓になったの？｣

｢拳士さんより場数踏んでますからね｣

拳士さんからかって遊んでたら携帯が震えた。
Aちゃんからメールのようだ。

｢From:Aちゃん
subject:テレビ前で待機！
(添付画像)

いよいよ直接対決ですね。
絶対ファイターズが勝ちます！
諦めの悪いファイターズらしい野球、見せてくださいね＼(^o^)／｣


添付された画像には、翔さんのグッズや写真が並ぶ前でピースをしている、ファイターズのビジターユニフォーム姿のAちゃん、の後ろ姿。


｢…あかん。｣

｢どうした遥輝ー？｣

｢Aちゃんが、可愛すぎる｣


自慢したくて、思わず画面を拳士さんに見せた。


｢お前のユニフォームじゃん！｣


彼女の着ているユニフォームの背番号は7
NISHIKAWAと書かれた俺のレプリカユニフォーム。


｢To:Aちゃん
subject:Re:テレビ前で待機！

絶対勝つから。見といて。｣


好きな子が自分のユニフォームを着ているというのが、こんなにも素敵なことだとは。

気合い入った。


｢拳士さん…今日勝つっすよ！｣

｢もちろん！｣


さぁ、いざ出陣だ。


｢って、拳士さんベンチやん。｣
｢それ言っちゃダメ！｣
｢卓さーん、今日勝つっすよ！｣
｢もちろん。｣
｢おい！｣

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